※この記事は2019年4月17日に掲載されたものです。

2年で5億円が8億円に!【攻撃型富裕層】の投資術!

 今回は、財政赤字に見舞われた「ギリシャ・ショック」を機に、積極的に攻めを仕掛けた「F本F次郎氏」の債券投資をご紹介します。総資産20億円のF氏が、ギリシャ・ショック時のチャンスにつぎ込んだ資産は5億円。これを2年間で8億円まで増やした攻めの債券投資術とは?

ギリシャ・ショックのパニックに乗じて攻めの投資!

 F氏の投資に触れる前に、まずは、ギリシャ・ショックについて解説します。

 2010年1月、欧州委員会がギリシャの統計上の不備を指摘したことが報道され、同国の財政状況の悪化が世界的に表面化。これに対しギリシャ政府は、3カ年財政健全化計画を発表しましたが、あまりに楽観的な経済成長が前提であったため、格付会社が相次いでギリシャ国債の格付けを引き下げ、マーケットではデフォルト不安からギリシャ国債が暴落。通貨ユーロの下落と世界の株価の大幅安へと繋がりました。これがギリシャ・ショックです。

 2011年にはイタリアがIMF(国際通貨基金)の監視下に入り、2013年にはキプロスが危機的状況に。EU(欧州連合)とIMFは、域内最強の資金力を持つドイツを中心にギリシャの救済・支援策を決め、ギリシャをはじめ各国に強く財政緊縮を求めることとなりました。

 雪解けの兆しが見えたのは2013年後半。各国の財政改革は次第に軌道に乗り、ユーロ危機は終息に向かいました。

 こうした波乱のタイミングで、世界の主要金融機関が発行する債券に投資のチャンスを見出したのがF氏です。

 若いころから地道に投資を続け、資産を増やしてきたF氏は、堅実に長期投資を行なうディフェンシブ資金と、大胆な投資に振り分けるアグレッシブ資金を振り分けていました。 F氏がアグレッシブ資金の投入に踏み切ったのは以下のような商品です。

発行体:Barclays Bank Plc
通貨 :ユーロ建て
種類 :永久劣後債
クーポン:4.75%
繰上償還(判定)日:2020年3月15日

*劣後債(れつごさい)とは
 社債を発行している企業が倒産した場合、債務の弁済順位が、優先株や普通株よりは優先されるが、通常の無担保社債より弁済順位が低いものを劣後債といい、さらに返済期限がないものを永久劣後債という。劣後債は、一般債券の返済手続完了後に返済開始となるため、投資家にとっては債権回収できないリスクが高いが、その分、通常の債券より利回りが高く設定されたり、有期債と比べ高いクーポンレート(表面利率)がついているなどのメリットがあり、投資家にとってはリスキーだが活用方法によっては高リターンを狙える案件。銀行監督上適用されるBIS規制(自己資本規制)でも資本として認められるため、銀行などの金融機関が自己資本充実などのため発行することが多い。