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9月24日、ドイツでは連邦議会選挙が予定されています。今年の欧州では、3月のオランダ総選挙を皮切りに、4、5月にはフランス大統領選挙、6月にはフランス議会選挙や想定外だったイギリス総選挙が実施され、「選挙イヤー」となっています。『ドイツ総選挙』は、いわばこの「選挙イヤー」の最後の目玉選挙です。昨年来注目されるポピュリズムの台頭が一定の落ち着きを見せるなか、『ドイツ総選挙』はどのような情勢なのでしょうか?

【ポイント1】世論調査では、メルケル首相率いる与党が優勢

今春から支持率が回復

■世論調査によると、メルケル首相率いる与党・キリスト教民主/社会同盟(CDU/CSU)の支持率が今春から回復しており、2位に差をつけ首位に立っています。2位の与党・社会民主党(SPD)の支持率は一時CDU/CSUを上回りましたが、足元では伸び悩んでいます。また、反欧州連合(EU)を掲げ支持を伸ばしてきた極右政党、ドイツのための選択肢(AFD)は支持率が低迷しています。

 

【ポイント2】メルケル首相への国民の信認は厚い

堅調なドイツ景気、難民受け入れの減少も要因

 

■CDU/CSUが支持を伸ばしている背景には、ドイツの失業率が歴史的な低水準にあるなど、景気が堅調なことが挙げられます。さらに、これまでのメルケル首相の実績から、今後もその経験や安定感に対してドイツ国民が期待を寄せていることも要因と見られます。

■欧州でポピュリズムの台頭の一端となった難民問題に対し、ドイツは2015年に大量に難民を受け入れていましたが、足元では難民の流入ペースが鈍化していることも、支持率回復につながっているようです。

 

【今後の展開】メルケル首相は4選する見通し、連立の組み合わせに注目

■CDU/CSUは第1党となり、メルケル首相が4選する見通しです。ただし、CDU/CSUによる単独過半数は困難と見られ、現在連立を組むSPDや、最近支持率が回復している自由民主党(FDP、2013年までの連立パートナー)との連立政権樹立が想定されます。

■今年「選挙イヤー」となっている欧州では、懸念されたポピュリズムの台頭に一服感が見られ、政治的に安定しつつあります。5月に就任したマクロン仏大統領とメルケル首相は“メルクロン”とも呼ばれる協調関係にあるなか、メルケル首相の政権が続くことは、市場にとって安心材料となりそうです。メルケル首相が4選を果たすのか、また、どのような連立政権を組むのか、1カ月後の『ドイツ総選挙』に注目です。

 

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(三井住友アセットマネジメント提供)