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今春は食品、外食などで『値上げ』が相次ぐ見込みです。食品では牛乳、ヨーグルト、飲料、即席めんなど、外食ではコーヒーやカレーなど幅広い分野に及びます。『値上げ』の背景には人件費、原材料費、物流費などの上昇があります。過去の『値上げ』の事例をみると、商品の価格競争力などにより、『値上げ』が浸透し業績が伸びたケースと、売上減少を招き業績が悪化したケースがあります。各社の『値上げ』の成否が注目されます。
【ポイント1】今春は食品、外食などで『値上げ』が相次ぐ
消費税引き上げ予定も影響
今春は食品、外食などで『値上げ』が相次ぐ見込みです。これまで各社は価格を据え置きながら製品の内容物を減らしたり、コストダウンを進めて『値上げ』回避に努めてきました。今春の一斉『値上げ』は、原材料費の上昇に加えて、深刻な人手不足に伴う人件費、物流費増により、こうした対応が限界に達したためです。
また、消費税引き上げが今秋に予定されており、その前後で『値上げ』を行うと便乗『値上げ』と受け取られかねないことも今春に集中した要因とみられます。
【ポイント2】食品各社は幅広い商品で『値上げ』を表明
外食産業でも『値上げ』
食品各社は、3月以降に幅広い商品で『値上げ』を行うと表明しています。アイスクリームでは江崎グリコやハーゲンダッツジャパンなど、飲料ではコカ・コーラボトラーズジャパンやサントリーなど、乳製品では明治や森永乳業など、即席めんでは日清食品など、スナック菓子ではカルビーなどで『値上げ』が見込まれています。
コストに占める人件費の割合が大きい外食産業でも『値上げ』が行われています。スターバックスコーヒーがドリップコーヒーなどを、またカレーチェーンの壱番屋がポークカレーなどを『値上げ』しました。
【今後の展開】『値上げ』の成否が、各社の業績回復を左右
過去の『値上げ』の事例をみると、購入頻度の高い食パンなどの生活必需品や、外食産業でも身近な焼き鳥などは『値上げ』が受け入れられにくかったのに対して、嗜好品は比較的『値上げ』が浸透する傾向がありました。また、ブランド力など商品の競争力が『値上げ』の成否を分ける傾向もありました。
今春の『値上げ』も、プライベートブランドとの競合や消費者の『値上げ』に対する目が厳しい中で、受け入れられるのは簡単ではありません。『値上げ』の浸透には、商品力や顧客満足度を高めるなどの取り組みなどが求められます。『値上げ』の成否が、各社の業績回復を左右するとみられます。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。