何も決められない英政府、ブレグジットの行方はどうなる?

 欧州も米国も、ポピュリズムの蔓延によって、反グローバル主義・反資本主義の政策が平気で行われる時代になりつつあります。今、その流れに最も翻弄されているのが、英国です。

 2016年6月の国民投票で、EUからの離脱方針を決めたものの、国内の強行離脱派と、穏健離脱派・EU残留派で意見が合わず、EUとの離脱条件で合意が得られません。「合意なき離脱」になると、英国もEUも大きなダメージを受けるので、英国議会は14日、「3月29日に予定されていたEU離脱を、6月末まで延期」することを決めました。ただ、離脱を延期したものの、6月までに離脱条件で合意できるメドはまったくありません。離脱時期を、さらに延期する必要が出てくると考えられます。

 ポピュリズムに振り回されて何も決められない英国政府を見て、英国に進出している外資系企業は、自衛策を採り始めました。ホンダは、英国での自動車生産から撤退する方針を発表しました。トヨタも「合意なき離脱になれば」、英国生産から撤退する可能性を示唆しました。ロンドンに欧州のメインオフィスを構える金融機関は、メインオフィスを他のEU加盟国に移す検討を始めています。

 こうした動きは、英国世論に影響を与えつつあります。一部に、離脱そのものを撤回すべきとの意見もあります。強硬離脱でも、穏健な離脱でもなく、離脱そのものを撤回させるために、離脱の是非を問う国民投票をもう一度やるべきとの意見も出ています。

 日本株への直接の影響は、今のところ小さいですが、ブレグジット(英国のEU離脱)に向けた議論の行方にも、注意を払う必要があります。