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「景気ウォッチャー調査」、いわゆる『街角景気』とは、景気に敏感なタクシー運転手や小売店、メーカー、輸送業、広告代理店など、地域の景気の動きを敏感に観察できる立場にある約2,000人を対象とした調査です。2019年2月の『街角景気』は、足元の景況感を示す現状判断指数(DI)が3カ月ぶりに改善しました。内閣府は、『街角景気』の基調判断をやや上方修正しました。
【ポイント1】現状判断DIは前月比+1.9ポイントと3カ月ぶりに改善
先行き判断DIは2カ月ぶりに悪化
2019年2月の『街角景気』によると、現状判断DI(季節調整値)は前月比+1.9ポイントの47.5でした。景況感の改善は3カ月ぶりです。ただ、水準は14カ月連続で景気判断の節目となる“50”を下回りました。
項目別では、企業動向関連、雇用関連、家計動向関連の3項目ともDIが上昇しました。暖冬で春物衣料が好調だったほか、訪日外国人客の需要で小売関連中心に家計動向関連が大きく改善しました。
一方、先行き判断DIは前月から▲0.5ポイントの48.9と、小幅ながら2カ月ぶりに悪化しました。項目別にみると、企業動向関連、雇用関連が上昇したものの、家計動向関連が低下しました。
【ポイント2】現状判断は景気にネガティブな単語の比率が低下
「株価」に関するコメントが減少
街角の声をより客観的に分析する、当社独自のテキストマイニングによる分析手法(*)によると、ウォッチャーの現状判断に関するコメントからは、ネガティブな単語の使用比率が大きく低下しました。「株価」に関する言及が減っており、株安への警戒の緩和が、家計動向関連を中心に、景況感の持ち直しにつながった可能性がうかがわれます。
一方、先行き判断については、「消費増税」が引き続き高水準となり、現状判断の景況感の持ち直しと裏腹に、景況感の重石となったとみられます。
(*)テキスト(文書)をコンピュータで探索する技術の総称。典型的な例として、テキストにおける単語の使用頻度を測定し、テキストの特徴を統計的に分析・可視化することで、背後にある有益な情報を探ることができます。
【今後の展開】内閣府は基調判断をやや上方修正、国内景気はまだら模様
今月はウォッチャーの現状に対する景況感は持ち直した一方で、先行きの景況感はやや慎重化したと言えます。内閣府は景気ウォッチャー調査の基調判断を、「緩やかな回復基調が続いている」とし、前月の「緩やかな回復基調が続いているものの、一服感がみられる」からやや上方修正しました。先行きについては、「海外情勢等に対する懸念もある一方、改元や大型連休等への期待がみられる」と据え置きました。『街角景気』からの強い示唆はありませんが、国内景気はまだら模様が続きそうです。