2月6日
「グリーン電力証書」取引制度、トライアル運営が始動へ

旧正月明けの仕事始めとなった2月3日、国家発展改革委員会(NDRC)、財政部、国家エネルギー局は共同で、「再生可能エネルギー・グリーン電力証書の審査発給と自主取引制度の試行について」と題した通達を発し、7月1日付でグリーン電力証書(環境価値を市場で取引できるよう証書化したもの)の自主取引プラットフォームを試験的に立ち上げるとした。2018年の取引義務化に向けた準備的な措置になるという。

ただ、この新措置は自主的な申し込みに基づく試験的な運営。BOCIは売り手、買い手の双方にとって魅力に欠けるとし、実際の証書取引規模は限られると予想。電力会社の業績や株価パフォーマンスへの影響も限定的とみている。また、現在の環境の下では、この政策はどちらかといえば、再生可能エネルギー・セクターにマイナスになるとし、風力発電より太陽光発電にとってよりネガティブと予想。その理由として、第1-6次補助金リストに記載されているプロジェクトが全体の35%にとどまる点を挙げた(風力の場合は全体の85%)。ただ、試験運営はあくまで初期段階にあり、この先、電力会社や送電会社と歩み寄る余地があると指摘。関連銘柄に関しては直接的な売り圧力の高まりというより、値ごろ感の後退という緩やかな影響が及ぶとみている。また、新規プロジェクトに関しては依然、補助金支払いの持続可能性が懸念されるとしながらも、6つの補助金リストに記載されている既存プロジェクトについては、新措置が補助金絡みの市場の警戒感を緩和させると予想。個別では、発電容量の84%が補助金リストに載っている龍源電力(00916)を選好し、株価の先行きに強気見通しを継続している。

BOCIはこの政策の狙いとして、主に以下の2点を指摘している。◇再生可能エネルギー向けの財政部の補助金負担を軽減するため、発電事業者の追加収入につながる証書取引のプラットフォームを構築。再生可能エネルギーの持続的な成長を後押しする。◇グリーン証書発行のトライアルを実施することで、関連規則や情報管理の最適化を図る。

同規定の内容は主に以下の通り。◇グリーン証書の取引価格は、対象部分の再生エネルギー補助金価格を上回ってはならない、◇グリーン証書を販売した発電施設は、対象分について補助金を受け取ることはできない、◇グリーン証書は再販売(転売)不可とする、◇証書は固有コードを用い、1MWhごとに割り当てられる。

BOCIは補助金対象プロジェクトへの補助金総額を約745億元と試算。国内の電力消費量5919GWhを基に0.7倍(サーチャージの一部回収不能を想定)を当てはめた場合、再生可能エネルギーの追加料金総額(サーチャージ総額)は787億元で、補助金額とほぼ一致するとした。エンドユーザーが支払う再生エネルギー向けサーチャージは1kWh当たり0.019元だが、当局が値上げする可能性は低い。NDRCによれば、政府はこうした中、電力会社、送電会社が補助金に変わる資金源を持つ方法を探っていたという。