本日の注目通貨
ドル/円:111円前半で待機中
火曜日のドル/円は111円台前半で小動き。マーケットはポンドの動きを追うことに忙しく、ドル/円に対する関心は薄いものでした。
この日発表された米国の2月消費者物価指数は、燃料と食品を除くコア指数が前月比0.1%という結果で、予想比、前月比ともに下回りました。2月雇用統計は、平均労働賃金の上昇が目立っていましたが、まだ物価には浸透していないようです。
協議が続いている米中貿易問題について米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は、中国に対する追加関税を維持する必要があるとの見解を示しています。中国側からは関税撤廃との一部報道も出ていたのですが、まだ意見の相違があるようです。3月末に予定されているトランプ大統領と中国国家主席の首脳会談が延期される可能性もいわれ、最終的な交渉は難航しているようです。ただマーケットの反応は限定的。ダウ平均株価は96.22ドル下げて引けましたが、これは墜落事故によるボーイング株の大幅続落に連れたものでした。
ポンド:メイ首相、またも敗れる
ポンド円は、ブレグジット決着期待で東京時間の朝に147.79円まで上昇。しかし、欧州時間になると離脱協定案の可決はやはり難しいとの見方が強まるなかで売りが優勢となって144.58円まで大幅に反落しました。
メイ首相の離脱協定案に対する「重要な投票(meaningful vote)」が、この日(12日)英議会で行われ、149票差で否決されました。
離脱協定案は今年1月15日に、賛成202、反対432の圧倒的大差で一度否決されています。メイ首相は修正案を用意して再投票を2月27日に行う予定でしたが、勝ち目がないとしてこの日まで延期したという経緯があります。しかしその甲斐むなしくまたもメイ首相の敗北に終わりました。
EU(欧州連合)側もぎりぎりになって譲歩を示してメイ首相に協力姿勢を見せました。しかし、ブレグジット派やDUP(北アイルランドの民主統一党)が満足できる内容ではなかったということです。
結果が出た後のポンドの動きは意外に小動き。こういう結果になることはすでに予想されていた、ということでしょう。
離脱協定案が否決されたということは、英国はこのままだと、なんの取り決めも交わさないままEUを離れる、いわゆる「ノーディール・ブレグジット(合意なき離脱)」状態になってしまいます。そこで本日(13日)メイ首相は、英国が「ノーディール・ブレグジット」を選択するかの動議を提出する予定です。
メイ首相の離脱協定案は嫌だけど、合意なしの離脱はもっと嫌ということで、これは否決(ノーディール・ブレグジットは回避)される見込み。
だったらどうするか?とりあえず3月29日に迫ったブレグジット期限日を延長しましょう、ということで、14日は期限延長を採択するとの流れになっています。
ところが、これで終わりではありません。いつまで延期するのかということを、3月の最終週までに話し合う必要があるのです。英政府は3カ月程度を想定していますが、EU側は約2年程度を提案してくる可能性があります。
延長期間が長いほうが良さげに思えますが、ブレグジットの不透明感が長引くほど英国経済が支払うコストも大きくなるというデメリットがあります。英国民からは、国民投票の結果を尊重していないとう批判もでてくるでしょう。
そこで期間を含めて延期すべきかどうか、あるいは総合的に判断してやっぱり離脱するべきかを問う、「重要な投票(meaningful vote)」で、3度目の正直の大逆転をメイ首相は目論んでいるようです。