19年は積極財政を強化、財政赤字率が上昇へ

 中国財務部が発表した19年の財政予算案を受け、BOCIは政府の積極財政方針が自社の予想以上に強力な内容だったと報告。主に以下の3点を指摘している。

【1】一般会計赤字と特別赤字を足し合わせた広義の財政赤字率(対GDP比)目標が、18年の4.1%から5%に引き上げられたこと。うち特別部分の赤字見通しがBOCIの予想を超えたという。地方政府はインフラ建設プロジェクトの再開や債務の借り換えに向け、これまで以上の規模で特別債を発行することが可能となる。

【2】税および社会保障費の目標削減幅がGDP総額の2.1%に当たる総額2兆元に上ること。これもBOCIの予想を上回る数字となった。こうした大型の減税と費用の引き下げで、GDP成長率の約0.6-0.8ポイントの押し上げ効果が見込めるという。

【3】中央政府が地方政府の資金調達に対する引き締め策を若干緩めつつあること。中央としてはインフラプロジェクトの自己資本比率を引き下げるとともに、銀行に対して地方向け債務の再編を促す方針。この結果、地方政府の資金調達プラットフォームの信用リスクは段階的に後退し、インフラ投資が回復に向かう可能性が高いとしている。

 中国政府はこのほか、19年に製造業、運輸・建設業の増値税(VAT)をそれぞれ13%(現在16%)、9%(同10%)に引き下げる方針を明らかにした。個人所得税に関してはすでに、18年10月に基礎控除額引き上げを実施し、19年年初には課税所得に対する特別控除措置が発効済みとなっている。このほか、中央政府は減価償却費の繰延控除の対象を全製造業に拡大する方針。また、内閣に当たる国務院は地方政府に対し、従業員向け養老保険の保険料率を16%に引き下げることを認める方針も通達した(現時点で16%を下回るのは深センなど3都市に限られ、大半は20%)。国務院によれば、税・費用の削減幅は総額2兆元で、対GDP比では2.1%相当。前年の1兆3000億元、1.4%を大きく上回る規模となる。

  財務部はまた、より多くの公的資源を雇用の維持や社会保障、教育、医療、環境保護、貧困地区開発、研究開発の強化などに振り向ける意向。雇用、保障性住宅、就学前教育、貧困地区再開発、大気汚染対策、水質汚染対策、文化サービスという7分野に振り向ける中央政府の補助金はそれぞれ前年比14.9%、12.4%、13.1%、18.9%、25%、45.3%、14%増える予定。中央財政支出全体の6.5%増を大きく上回ることになる。

 このほか、国務院は地方政府債務を取り巻くリスク軽減に向け、多角的な対策を取る方針。まずは地方に特別債発行を促し、一部の債務と置き換える。特に債務負担が重い地方に対し、借り換えや資産売却などの手段を通じた負債レベルの削減を求める。BOCIは中央政府による信用面の支援により、地方政府の資金調達プラットフォームの財務状況が段階的に改善するとの見方。その結果、信用リスクが徐々に後退するとみている。