市況悪化も金融緩和や地方の締め付け緩和が追い風、19年の復調に期待
BOCIは現在の不動産市況が、12年初頭に近い状況にあると指摘している。物件相場の先高観の後退や需要の減退、在庫の増大などが類似点。12年当時は、金融緩和や地方レベルでの締め付け緩和がその後の市況の全面回復を後押しした。一方、BOCIは19年の市況や不動産銘柄のパフォーマンスについて、あくまで慎重ながらも楽観的。慎重さの理由としては、12年と比べた潜在需要の縮小や、不動産銘柄の現在株価の相対的な高バリュエーション(ヒストリカル平均値を上回る)を挙げている。個別では財務が健全な銘柄を選好。また、マーケットは小都市の不動産市況に対して過度に悲観的だとし、この点が今後、一部銘柄の再評価につながる可能性を指摘している。
不動産市況は16年から下降トレンドにあったが、ここに来てマイナス局面に沈んだ。地方政府の締め付けが続く中、物件需要は弱く、過去2年にわたって横ばいだった不動産価格が各地で下落に転じた。こうした傾向を見る限り、市況全体の先行き見通しや物件需要といったファンダメンタルズ要素は、ここ2年で後退した可能性が高いという。
供給面からも現状はネガティブであり、土地取引面積や新規着工面積の伸びが、新築物件の販売面積の伸びを上回るペースとなっている。これまでに同様の傾向が見られた際には(11年と14年)、不動産市況はいずれもその後悪化した。着工面積と販売面積との比率から見る限り、物件在庫の増大ペースが最も速いのは1線都市(主に4大都市)で、東部沿海地域の2線都市がこれに続くという。
マーケットは小都市の不動産市場に対して悲観的だが、BOCIは18年12月に20都市を対象にリサーチを実施した結果、物件供給量や競争環境は現地の人口や経済規模と見合うレベルだったと報告。特に市街地では人口流入が見られたとし、小都市市場の安定感を指摘している。
一方、政策面では、BOCIは中央政府による不動産引き締め緩和は年内期待薄とみている。ただ、金融緩和や地方政府レベルでの締め付け緩和が不動産市場を支えるとの見方。こうした政策環境は12年と類似しており、19年の市場回復にも寄与する見通しという。
BOCIによると、レーティング見直しにつながる潜在要因は主に以下の通り。◇上方修正要因:12年当時と同様に市況が全面回復する、◇下方修正要因:預金準備率引き下げによるプラス効果の後退に加え、物件需要が予想以上に萎縮している可能性。
個別では、碧桂園(02007)に対して最も強気。18-19年の利益成長率が30%を上回り、ROE(株主資本利益率)は約30%に達すると予想し、現在株価の低バリュエーション(19年予想PBR1.2倍、予想PER3.7倍)を指摘した。中国海外発展(00688)に対しても財務の健全性や販売好調見通しを理由に強気。ほかに龍湖集団(00960)や中国恒大集団(03333)の株価の先行きに対しても、強気の見通しを付与している。