現在のGSR水準は80倍超。リーマン・ショック時と同水準

 金の用途別需要を見ると、宝飾品や投資用の需要が9割を占めますが、銀は工業用が6割を占めています。従って、景気変動の影響は、圧倒的に銀が受けやすいということが分かります。金融危機が発生すると金は安全資産として買われ、また、金融危機のときには景気も減速することから銀の需要は減少し、銀の上昇は鈍くなることが予想されます。この結果、GSRが上昇してくることが推測されます。

 現在、GSRは2018年2月から80倍を超える水準が1年近く続いている状況となっています。

 2018年を振り返ってみると、年前半は米朝首脳が言葉で攻撃し合い、北朝鮮問題の地政学リスクが高まるものの、6月の米朝首脳会談以降、地政学リスクは低下しました。

 ところが夏場以降、今度は米中貿易摩擦が激しくなり、経済への影響が懸念されてきました。この懸念増大から10月から12月にかけて株が大きく下がったのは記憶に新しいところです。

 このように地政学リスクの高まりや経済減速懸念によってGSRの80倍近い水準が続いてきました。直近の株の動きを見ると、米国金融政策のタカ派姿勢が後退したことや、3月1日交渉期限の米中通商協議の進展について楽観的な見方が高まってきたことから米国株は上昇しています。しかし、GSRの水準は変わっていません。

 先週発表された2018年12月の米小売売上高は前月比▲1.2%と発表されました。12月の株安や政府機関の閉鎖などがありましたが、2009年9月以来、9年3カ月振りの低水準で、リーマン・ショック後の水準と同じようなマイナス幅となりました。

 また、中国の1月の新車自動車販売は、前年同月比▲15.8%と7カ月連続のマイナスに。11~12月に急減速した景気は、1月に入っても減速が続いているようです。今年に入ってIMF(国際通貨基金)などによる世界経済見通しの下方修正が相次いでいますが、ひょっとしたら景気の減速はまだ始まったばかりかもしれません。

 GSRの高止まりは世界経済の先行き不安を反映し、その不安が続いていることを物語っているようです。80倍を超える水準が1年近く高止まりしていることから、指標としての役割や意味合いが変わってきたのかもしれませんが、続々と発表される経済指標を見ていると、引き続き警戒モードで臨んだ方がよさそうです。