今回も、ボリンジャーバンドの派生指標「RSIボリンジャー」です。RSIボリンジャーは名前の通り、RSIのボリンジャーバンドで、設定もRSIの画面から行います。
ここではRSIの期間を8期間としていますが、RSIのパラメータについては皆さんが通常使っているパラメータのままで構いません。ちなみに、私は一般的な14期間よりも短めの8期間を好んで使っています。また、ボリンジャーバンドのσ(標準偏差)を通常の2.0よりも小さい1.5としていますが、この値も1.5〜2.0の間でどの程度RSIボリンジャーにRSIの値が到達するのか、利用方法と併せて1.5、1.75、2.0の3つを比較してみることをおすすめします。今回は到達することを増やしながらもオシレータの「ゾーン・エグジット」を併用する手法で効率の良いRSIボリンジャーの利用方法を紹介します。
まず、RSIは買われ過ぎ、売られ過ぎの判断に適した代表的なオシレータ系指標のひとつで、通常RSIが70〜80を買われ過ぎ、20〜30を売られ過ぎと判断します。しかし、上昇トレンドがはっきりと出ている場合には、50よりも上でしか推移しないとか、逆に下降トレンドがはっきりと出ている場合には、50よりも下でしか推移しないとかいったことがしばしば起こりますので、そうなるとどの水準をもって買われ過ぎ、売られ過ぎとするのか、主観を入れないと判断しにくくなる欠点があります。
RSIボリンジャーは、このRSIの数値自体のボリンジャーバンドを表示させることで、トレンドが出ている場合でも、もみあいの場合でも買われ過ぎ(RSIボリンジャーの上側バンド)、売られ過ぎ(RSIボリンジャーの下側バンド)を適正に見ることが出来る指標となります。このコンセプトは、エンベロープとボリンジャーバンドの違いのように、ダイナミック(動的)な水準表示をオシレータに導入したものとなります。
まずは、ドル円日足に20期間のボリンジャーバンド(±1σ、±2σ)とRSIボリンジャー(RSI8期間、BB20期間、±1.5σ)を表示したチャートをご覧ください。
基本的な見方は、RSIがRSIボリンジャーに到達したポイントが買われ過ぎ、売られ過ぎのポイントとなりますが、より具体的には黄色の矢印で示したオシレータの「ゾーン・エグジット」のポイントが買われ過ぎ、売られ過ぎのポイントとなります。聞きなれない言葉かもしれませんので、以下の図をご覧ください。
上図ではわかりやすくするため全ての水準を平らに示してありますが、下側の赤い線が下側のRSIボリンジャー、上側の赤い線が上側のRSIボリンジャーとなります。中央の線はRSIの移動平均、青い線がRSIです。
ここで下側のRSIボリンジャーに最初に到達したポイントから、売られ過ぎゾーンに入ったところを「ゾーン・エントリー」と呼び(緑の四角の位置)、売られ過ぎゾーンから出ていくポイントを「ゾーン・エグジット」と呼びます(緑の丸の位置)。ゾーン・エントリーとゾーン・エグジットがほぼ同時の場合も多いのですが、上図のように買われ過ぎゾーンに到達しゾーン・エントリーとなったあとに、しばらく買われ過ぎゾーンで推移することもあります。そのような場合には、買われ過ぎゾーンから出ていくゾーン・エグジットをもって買われ過ぎと判断することになります。
先ほどのドル円日足チャートの黄色の矢印で示したポイントが、それぞれ買われ過ぎ、売られ過ぎのゾーン・エグジットを示したポイントですが、ゾーン・エグジットの見方をRSIボリンジャーに組み合わせることで割とよいタイミングで買われ過ぎ、売られ過ぎのポイントを示していることが理解できると思います。
また上図の移動平均線を横切る位置に緑の矢印を示してありますが、これはRSIがRSIの移動平均線を上抜けした時に上昇トレンドが加速し、下抜けした時に下降トレンドが加速しやすいことを示したものです。先ほどのゾーン・エグジットと組み合わせて考えると、以下のような戦略を組み込むことも有効です。
- RSIの移動平均線上抜けで買い、RSIボリンジャー上側のゾーン・エグジットで売り
- RSIの移動平均線下抜けで売り、RSIボリンジャー下側のゾーン・エグジットで買い
なお、このゾーン・エグジットの考え方は通常のオシレータ系指標でも使えることを付記しておきます。
第6回のポイント
- RSIボリンジャーでは、RSIのゾーン・エグジットに注目する。
- RSIが移動平均線を上抜け、下抜けする時は、トレンドが加速しやすい。