なぜ個人投資家のリターンは市場平均を下回るのか

 投資でのリターンを上げるには、どのファンドやどの銘柄を選んだらいいか、もしくはいつ投資をすればいいのかに焦点があたりがちですが、投資成果というのは投資しているファンドの成績やタイミングよりも、そのファンドを持っている投資家の行動によって決まります。

 日本ではあまりこの行動ファイナンスについてのリサーチが進んでいないですが、米国には個人投資家の非合理的な行動を調査している会社がありますので、今回はそのレポートを参考にしながら話を進めていきたいと思います。

 

市場平均を下回る個人投資家のリターン

<投資家のリターンVS市場平均リターン>

(出所:“Quantitative Analysis of Investor Behavior, 2016,” DALBAR, Inc. www.dalbar.com)

 この表は米国の投資家の平均的な株式ファンド、分散ファンド、債券ファンドのリターンとS&P500(米国の代表的な株価指数)のリターン、債券インデックスのリターンを表しています。

 赤い丸で囲っているところが、過去10年間の投資家が株式ファンドで得た平均リターンが4.23%に対して、S&P500は7.31%となり、約3%の年間リターンの差が出ております。その一段上の20年間のリターンで見ると約3.5%も年間リターンでビハインドしていることになります。3.5%の差と言ってもそれほどピンとこないかもしれませんが、20年でみると結構な差になります。例えば10万ドルを20年間4.67%で運用した場合はインフレ調整前で約25万ドルになりますが、これをS&P500の8.19%で運用すれば48万ドルになります。