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 オフィスビル仲介大手の三鬼商事は、『オフィスビル空室率』や平均賃料を毎月中旬頃に公表しています。2019年1月の東京都心5区の空室率は1.82%となりました。6カ月連続の低下であり、水準としては月次データの残る2002年1月以降で最低となります。平均賃料は緩やかながら上昇基調にあり、オフィスビル市況の需給は引き続き良好です。

 

【ポイント1】1月の都心5区の『オフィスビル空室率』は1.82%

新築ビルは上昇、既存ビルは低下

 2月7日に公表された三鬼商事の都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の2019年1月の『オフィスビル空室率』は、前月比0.06ポイント低下の1.82%となりました。2018年8月以降6カ月連続の低下です。

 新築ビルの空室率は前月の3.07%から3.21%に上昇したものの、既存ビルの空室率が同じく1.85%から1.78%に低下したためです。

 新築ビルの空室率上昇は、大規模ビルを含め満室稼働のビルが既存ビルの区分に移行したことによるものです。他方、既存ビルの空室率は、統合等に伴う成約があったこと等から低下しました。

 

【ポイント2】平均賃料は上昇が続く

61カ月連続の上昇

 2019年1月の都心5区の平均賃料は、前月比0.6%上昇の坪当たり2万1,010円でした。平均賃料の上昇は、2014年1月以降61カ月連続となり、2009年3月以来9年10カ月振りの2万1,000円台乗せを果たしました。

 内訳をみると、1月の新築ビルの平均賃料は前月からほぼ横ばいの2万9,819円、既存ビルは同0.4%増の2万691円でした。

 

【今後の展開】2019年も『オフィスビル空室率』は低水準が続く見込み

 東京のオフィス需要は、IT企業、コワーキングスペースやシェアオフィス(自社だけではなく、複数の利用者が使用する形態のオフィス)の運営オペレーターに牽引され、2019年も拡大が見込まれています。

 オフィスビルの供給も引き続き増加していますが、旺盛な需要によって吸収されると予想されます。従って2019年も『オフィスビル空室率』は低い水準にとどまり、賃料は上昇が続く見通しです。