本日の注目通貨

ドル/円:110円攻略できず

 水曜日のドル/円は110円台に何度かチャレンジしながらも上抜けできない状況。高値は110.05円まで、ただ安値も109.56円と下も固い。

 トランプ大統領は、一般教書演説で今月27日・28日に北朝鮮との首脳会談をベトナムで行うことを発表しましたが、マーケットの反応はほぼゼロ。去年のような盛り上がりや期待は全く見られませんでした。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

豪ドル/円:急落!

 RBA(豪準備銀行)のロウ総裁はこの日、金融政策について重要な変更を発表しました。豪ドルは東京時間にドルや円に対して急落。海外時間に入っても目立った回復は見られません。豪ドルの下向きトレンドが強まっています。

 ロウ総裁はこれまでの間、政策金利について、「次に変更するときは、利上げ」と言い続けていたのですが、この日の演説では、「見通しはバランスしている」と見通しを変更しました。金融政策を引き締め方向から、利上げ、利下げの両方の可能性がある「中立」へと後退させたわけです。また、「低金利は豪ドル安につながる」と、豪ドル安を促すような発言もありました。

 豪ドル/ドルはそれまで0.72ドル半ばで取引されていたのですが、一気に0.72ドルを下抜け、NY時間には0.7103ドルまで大幅下落。豪ドル/円は、火曜日に年初来高値を更新(79.66円)して、これからだというときに78.05円まで押し戻されました。

 最近の豪経済指標が悪く、さらに中国の景気減速懸念もあって、RBAが路線変更する気配はありました。ところが、RBAは今週の会合で政策金利を据え置き、ロウ総裁は豪経済の見通しに強気のコメントを発表したことから、次回3月までは中立スタンスを維持するのだろうといったん警戒を解除したのです。それもあってこの日のロウ議長の発言はインパクトがありました。

 RBAは明日(8日)、四半期金融報告(SoMP)を発表します。ここで公式に金融政策のスタンス変更を発表するだろうとの思惑で豪ドルに売り方向の圧力が強まっています。

 FRB(米連邦準備制度理事会)、ECBに続いてRBAも金融政策を利上げから遠ざかる方向へと変更しています。ちなみに日銀はマイナス金利を継続していますが、物価見通しを引き下げています。中央銀行の努力にもかかわらず、世界はまた低金利時代へ逆戻りすることになりそうです。

 FRBが利上げを中止したことで、ドル安に向かってもいいはずですが、ユーロや豪ドルがドルの代打として頼りないため、相対的にドルが高くなっている、それが今のマーケットです。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成
出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成