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 米『雇用統計』は、米労働省が毎月発表する、雇用関連の経済指標です。『雇用統計』は、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策の決定に大きな影響を与えるため、金融市場は、その発表で大きく変動することが多く、最も注目される材料の1つです。2019年1月の『雇用統計』は市場予想を大幅に上回り、米国景気が内需主導で堅調であることが示されました。

 

【ポイント1】雇用者数は予想を大幅に上回る30.4万人増

基調は20万人をやや上回るペースで増加

 2019年1月の非農業部門雇用者数は、前月比30.4万人増と、ブルームバーグ集計による市場予想の同16.5万人増を大幅に上回りました。なお、前月12月分は同31.2万人から同22.2万人に下方修正されました。

 1月は天候が良好に推移したことなどから、雇用は、建設業や小売業、レジャーなど幅広い業種で増加しました。3カ月移動平均では24.1万人増となり、基調としては20万人をやや上回る増加ペースを維持しており、雇用は引き続き堅調です。

 

【ポイント2】失業率は0.1ポイント悪化

緩やかな賃金上昇が続く

 失業率は、前月から0.1%上昇し4.0%と、7カ月ぶりに4%台に上昇しました。これは、米政府機関の一部閉鎖による影響と見られますが、一時的と考えられます。

 賃金は前月比0.1%増と前月の同0.4%増よりも弱含みました。前年同月比では3.2%増となりました。緩やかな賃金上昇率が続いているため、インフレが急加速する様子はうかがえません。

 

【今後の展開】米株は底堅い景気や企業業績を好感、米中協議の行方に注目

『雇用統計』と、同日に発表された米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況指数が予想に反し上昇したことなど米国内の景気が堅調であることが確認されたことや、良好な企業業績が好感されてこの日の米国株式市場は堅調でした。米連邦準備制度理事会(FRB)が、1月29・30日に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で金融政策に対するスタンスを大きくハト派に転換したことから、米国株式市場は戻り基調を強めています。

 一方、1月末に開催された米中通商協議では具体的な進捗は発表されませんでしたが、米中首脳会談が今月に開催されるとみられることから、何らかの合意に至ると期待されます。