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オフィスビル仲介大手の三鬼商事は、『オフィスビル空室率』や平均賃料を毎月中旬頃に公表しています。2018年12月の東京都心5区の空室率は1.8%台まで低下しました。2012年に9%台だった同空室率は低下傾向を続け、月次データの残る2002年1月以降で最低水準となりました。平均賃料は緩やかながら上昇基調にあり、オフィスビル市況は極めて良好な需給環境が続いています。
【ポイント1】12月の都心5区の『オフィスビル空室率』は1.8%台へ低下
既存ビル、新築ビルの空室率はともに低下
1月10日に公表された三鬼商事の都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の2018年12月の『オフィスビル空室率』は1.88%でした。前月比で▲0.10ポイント低下し、月次データの残る2002年1月以降で最低水準となりました。
内訳をみると、新築ビルの空室率は同▲0.38ポイント低下の3.07%、既存ビルの空室率は同▲0.09ポイント低下の1.85%でした。新築ビルの空室率は、新規供給がなかったことや、竣工1年未満のビルに成約の動きがみられたことから低下しました。既存ビルの空室率は、オフィスの拡張移転や他地区からの移転による需要があった一方、竣工予定ビルなどへの移転に伴う解約もあったため、小幅な低下にとどまりました。
【ポイント2】平均賃料は上昇が続く
60カ月連続の上昇
2018年12月の都心5区の平均賃料は、前月比+0.69%の坪当たり2万887円となり、2014年1月以降60カ月連続の上昇となりました。『オフィスビル空室率』の低下が示す通り、需給が引き締まっている状況にあり、平均賃料は緩やかながら上昇が続いています。
内訳をみると、12月の新築ビルの平均賃料は前月から横ばいの2万9,804円、既存ビルは同+0.7%の2万604円でした。
【今後の展開】2019年も『オフィスビル空室率』は低水準が続く見込み
『オフィスビル空室率』が2017年12月の3.12%から1.88%に低下するなか、空室面積は141,528坪と、前年同月比で▲87,671坪減少しました。2018年は移転や増床によるオフィス需要に加え、コワーキングスペースやシェアオフィスなどの新形態による大型需要もあり、新築・既存ビルともに空室面積が減少しました。
2019年の新規供給量は382,336坪、33棟の竣工が予定されています。2018年と比べると、棟数が増えるものの、総延床面積は減少する見込みです。2019年の『オフィスビル空室率』は、オフィスビルの品薄状況から、引き続き低水準が続くとみられます。