「最悪期」を経て19年には段階的に市況改善へ、国産ブランド大手に強気見通し

 中国の自動車業界は18年下期に、ここ10年で最悪の下降局面を経験した。BOCIは仮に政府当局が支援措置に動かなければ、続く19年もマイナス成長が続くとみている(乗用車販売台数3.3%減、商用車2.3%減を予想)。ただ、それでも新車市況は年初が底で、その後は四半期ごとに改善に向かうと予想。19年下期には転換点を迎える可能性があるとした。一方、中国政府が自動車市場の対外開放を進める中、今後は自動車業界の中外合弁事業が新たな段階を迎えると指摘。さらに中国の独自ブランドメーカーの集約化が進むとみて、この分野の大手がシェア拡大の恩恵を受ける見通しを示した。また、17年末から続いた自動車銘柄の下落局面はほぼ終わりに近づいたとみる半面、個別銘柄の利益見通しに関しては一段の下方修正リスクが残るとの見方。セクター全体が再び値上がりに転じるタイミングについては、新車需要の改善と政策動向(新車購入刺激策)次第としている。車両タイプや価格帯別ではキーポイントは以下の通りとなる。

【高級車】09-10年にブームを迎えた経緯から、買い替え需要、アップグレード需要が引き続き販売増を支える見込み。ただ、高級車メーカーおよびディーラーの双方において、引き続き価格や利幅の低下が懸念材料となる可能性が高い。

【新エネルギー車(NEV)】乗用車・商用車を含む販売台数は19年に165万台、20年には210万台に達し、この時点で政府目標の200万台を上回る見通し。NEV市場では現在、中国の独自開発ブランドが圧倒的に強いが、今後は勢力図が変わるとみる。

【中国独自ブランド】この先、新車市場における一段のシェア拡大が難しくなる見込み。ただ、大手に関しては乗用車部門の集約化を追い風に、シェア拡大が続く可能性が高い。ちなみに独自ブランド乗用車の販売台数は現在、年間1000万台規模に上る。

【中外合弁ブランド】外国企業側の出資比率はこれまで最大50%に制限されていたが、政府は段階的に制限を撤廃する方針。この出資制限撤廃による各合弁事業への影響の度合いは、外資側と中国企業側の力関係や貢献度に左右される可能性が高い。

 BOCIは日米自動車市場の歴史を参考にした上で、現在の下降局面が終わった後の中国自動車市場には一段の拡大余地があると指摘。国内の独自ブランド大手に関しても、この先一段の発展余地を指摘している。

 香港上場の自動車関連銘柄の19年予想PERは平均8.1倍で、うちメーカーは平均5.6倍(他にディーラーも5.6倍、部品製造銘柄は10.8倍)。BOCIは中外合弁より、国内独自ブランドに対して強気であり、個別では独自ブランドの吉利汽車(00175)と、中外合弁系の広州汽車集団(02238)に対して強気見通しを示している。一方、ディーラー銘柄に関しては、18年下期の業績悪化リスクを指摘。19年3月の18年本決算発表まで様子見姿勢を維持するよう投資家に勧めている。