本日の注目通貨

ドル/円:米雇用統計後に108円台後半まで戻す

 12月の米雇用統計は予想を大きく上回りました。強い結果を受けてマーケットはドルの買い戻しに動き、1月3日に104円割れ寸前まで下げたドル/円も108円台後半まで回復しました。(チャート1)

 12月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が+31.2万人と予想の+18.4万人を上回る増加で、過去10カ月間で最大の伸びを記録。また前回11月分についても+16.1万人から+17.3万人へ上方修正されました。

 平均労働賃金も上昇。前月比+0.4%、前年比+3.2%で、予想(+0.3%、+3.0%)上回ったばかりでなく、前月比でも賃金を伸ばす結果となりました。

 その一方で、失業率は3.7%から3.9%にやや悪化しましたが、これは労働参加率が高まったせいで、雇用市場全体にとってはかえって良い傾向という解釈になりました。実際、米雇用市場では教育、ヘルスケア、レジャーなど様々な部門の雇用増加が報告されています。

 今回の雇用統計の強さは、12月の米国の製造業活動を示すISM指数が約10年ぶりとなる大幅な低下となった後だけに、米経済の信頼回復の材料になりました。

 しかし、この日のメインイベントは雇用統計よりもパウエルFRB議長の発言でした。12月の乱高下相場の原因は、これまではっきりしていたはずのFRB利上げスケジュールが、急に不透明になったからです。FRBはこれまで通り利上げを続けるから、利上げをしばらく見送る、いや利下げするかもしれない、などと様々な意見がマーケットで飛び交うなか、パウエル議長から直接説明を聞きたいということで関心が高まっていたのです。

 パウエル議長はアトランタで行われた討論会で、「米経済は健全」であるとしながら、「利上げはあらかじめ決められたものではなく」、金融政策は経済状況を見て「柔軟に対応する」と改めて強調しました。つまり、パウエルFRB議長は、今は利上げをする時期ではなく一時休止もやむを得ないことを認めたといえます。この日はイエレン前議長、バーナンキ元議長も出席していましたが、彼らもパウエルFRB議長の考えを支持しました。

 株式市場は、FRBの利上げスピードが緩やかになることを好感して、ダウ平均株価の上げ幅は一時830ドルを超えました。なお、パウエルFRB議長はトランプ大統領に辞任しろと迫られても「辞めない」と述べ、中央銀行の独立性に関して強いメッセージを発したこともマーケットにとって安心材料となったようです。

 しかし、米金利上昇見通しが後退することは、ドル/円にとっては積極的な買い材料にはならず、108.59円をつけてからは上昇ストップ。1月3日の始値水準の108.80円にも届かず終値は108.52円でした。

 

ユーロ/円:6円超上昇

 米雇用統計が発表されたあと、ユーロ/円はNY市場の午後に123.86円まで上昇。1月3日のマーケットで場外乱闘気味に117.20円まで急落してから、6円以上急回復したことになります。(チャート2)

 

豪ドル/円:急反発。米中協議開始、米利上げ休止で豪ドル買い

 米国の利上げの一時休止によって、豪ドルなどキャリートレード通貨にマネーが集まる可能性があります。

 1月3日に71.26円まで急落した豪ドル/円ですが、この日は1月2日の高値を超えて77.30円まで大きく反発しました。(チャート3)