19年の新車市況に慎重見通し、年半ばには「最悪期」脱却か

 BOCIはこのほど香港で投資家とのミーティングを行い、自動車セクターおよび関連銘柄に関する意見を交換した。この場では19年の自動車市況に対する慎重見通しがコンセンサスとなる半面、現段階での自動車銘柄への投資の是非に関しては見解が分かれたという。18年に入ってからは、米中摩擦や中国の自動車輸入関税の引き下げ、合弁事業における外資側出資制限の撤廃方針、さらに中国経済の減速といった悪材料が重なり、香港市場では自動車銘柄が軟調。年初来の値下がり率は平均37.4%と、全体相場を大きくアンダーパフォームし(ハンセン指数の下落率は12.8%)、過去2年間にわたるアウトパフォーム局面に終止符を打った。自動車銘柄の平均値上がり率は16年に年間7.6%(ハンセン指数0.4%)、17年には111.3%(同36.0%)を記録していた。

 ここ数カ月は伝統的な新車市場のピークシーズンに当たるにもかかわらず、エンドユーザー需要の低迷が続いている。在庫の増大を受け、卸売販売台数は減少ペースがさらに加速。7月に前年同月比5.3%のマイナスに転じた後、9月以降は減少幅が2桁に拡大し、直近では16.1%減。過去30年間見られなかったほどの厳しい状況となっている。

 こうした中にあっても、国家発展改革委員会は11月半ば、車両取得税の5%への減税観測を否定するコメントを発表。市場では短期的な政策支援期待が大きく後退した。投資家は19年の自動車市況、特に乗用車市況に対して慎重であり、新車販売のマイナス成長を見込む向きが優勢となっている。19年1-3月期に関しては、在庫圧力や前年同期実績の高さなどから、前年同期比15-20%の減少を見込む声が強いという。BOCIの予測では、新車市況の最悪期は18年10-12月あるいは19年1-3月。その後、4-6月(遅くても6月)には減少幅が縮小に向かう可能性が高い。

 一方、自動車銘柄に対する投資家の見解はまちまちで、長期限定の投資家は極めて慎重。こうした悲観派は中国マクロ経済そのものに対して悲観的。中国のシステミックリスクを見込み、ハンセン指数が18000-20000ポイントまで下落するといった悲観的なシナリオに言及していたという。対照的に、ヘッジファンドはより積極的。年初から自動車銘柄の空売りを行ってきた一部ヘッジファンドが、段階的に買い戻しを開始した。

 個別銘柄に目を向けると、中外合弁事業を主体とする銘柄に関しては、中国政府が発表した「外資側出資制限の撤廃」が懸念材料。BOCIはこの点を考慮し、現時点では吉利汽車(00175)、長城汽車(02333)、BYD(01211)など、純粋な自主ブランドメーカーに限って投資選択肢になり得るとした。上海汽車集団(600104)と広州汽車集団(02238)に関しては、北京汽車(01958)や東風汽車集団(00489)と比べ、持ち株構成の変更リスクが低く、ファンダメンタルズがより良好としながらも、自動車業況の悪化や先行き不透明感を受けた投資家の懸念が引き続き足かせになるとみている。