2019年以降「自助努力制度」はどう変わるか? NISA、iDeCoの次の方向は

 NISA恒久化は見送り非課税枠など大枠は変わらずということはすでに税制改正大綱のところで触れましたが、iDeCoについては別のアプローチで改正が期待されています。

 それはiDeCoについて65歳まで拠出可能になるというものです。これは規制改革推進の観点から、加入者資格年齢の引き上げについて議論が行われているもので、政府の検討課題として掲げられています(内閣府の規制改革実施計画などに盛り込まれている)。計画書では2022年1月までには結論を得るとしています。(参考4)

 企業型確定拠出年金についても、60歳以降の掛金拠出をより容易にする議論が含まれています。現状では同じ会社に60歳以降も勤務継続しないと加入継続できないなど、微妙なしばりがあり定年延長企業以外には使いにくいものとなっていますが、70歳まで拠出可能になる検討が行われることになるでしょう。

 一方で、税制改正大綱から、各制度が別々の限度額や加入資格を有していることが、制度のわかりにくさにつながっているという指摘があり、「資産形成の非課税枠、大統一」という可能性もあります。

 確かにNISAとiDeCoや財形年金などが、それぞれ別の制度として所轄をもち、拠出枠や税制の条件を設定しているのには、わかりにくさがあります。

「個人にとって老後資産形成は年200万円までが所得控除で、好きな口座を使えばいい」というようにしてくれれば、もっと話は楽になるはずです。しかし、NISAとiDeCoをひとつにくくるだけでも大仕事ですから、来年再来年に決着するのは難しいかもしれません。

 

長期的な老後資産形成制度が存続することは、ほぼ確実。まずは今ある制度の活用を

 公的年金改革の方向性と、私的な資産形成制度(特に老後に向けた)について、2019年あるいは2020年以降の改正の方向感をまとめてみました。

 個人にとっては、「今ある制度を活用する」という視点がまずは大切ですが、今後の政策的ビジョンを時々考えてみることも有意義です。

 国がさまざまな制度を動かすとき、そこには必ず政策的な意図やねらいがあります。そして、課題はひとつひとつ改善の方向性に向かいます。

 政策的にいえば、老後資産形成を支援するアプローチは強化されることはあれ、廃止や縮小は考えにくい取り組みといえます。これは日本に限らず、世界的に生じている少子高齢化と公的年金の負担増への解決策として、自助努力をサポートすることが欠かせないからです。

 つみたてNISAのような長期にわたる資産形成制度、iDeCoのように老後受け取りを前提とした資産形成度の形は、どのような状況になっても存続するでしょうし、発展が見込まれます。

「もう少し様子をみよう」と考えているうちに、自分の老後は刻一刻と近づいていきます。それよりも、今利用できる制度をなるべく活用して、早めに資産形成をスタートさせておくことをおすすめします。

 2019年がどのようなマーケットになるとしても、あなたが1歳年を取り、定年は1年近づき、リタイア生活もまた1年近づいていくことだけは確実なのですから。


◎今回の参考サイト

1.自民党サイト 自由民主党・公明党「平成31年税制改正大綱」より

2.首相官邸サイト「未来投資会議」より

3.厚生労働省「平成30年 高年齢者の雇用状況集計結果」より

4.平成 30 年6月15日 閣議決定「規制改革実施計画」より

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