2019年も「米中貿易摩擦」がキーワードに

 2018年最も株式市場で話題になったワードは「米中貿易摩擦」でしょう。両国の対立が激化、ときにその姿勢は緩和し、しかし株式市場の頭を抑え続けているという理解は多くの投資家が共有するものです。この問題に対する認識なくして、2019年の株式投資に向かうことはできないでしょう。特に米国側の姿勢が重要だと考えます。2018年10月4日に米シンクタンク・ハドソン研究所でペンス米副大統領が行った「対中国政策」に関する演説から、2019年の米中関係について考えたいと思います。

ペンス米副大統領演説要旨

  • 中国政府は、政治・経済・軍事的手段とプロパガンダを用いて、米国内政策や政治活動に干渉している
  • 中国の経済発展の大部分は、米国の投資によってもたらされた
  • 関税、為替操作、強制的技術移転、知的財産窃盗、産業界への補助金など自由で公正な貿易とは相いれない政策を行使してきた。民間技術は軍事技術に転用されている
  • 南シナ海を「軍国主義化する意図はない」と発言した一方で、人工島に建設された軍事基地に、対艦ミサイルと対空ミサイルを配備した
  • 中国政府は自国民に対して、統制と抑圧を行い、他に類を見ない監視国家を築いている。収容所に100万人ものイスラム教徒のウイグル人を投獄し思想改造を行っている
  • 中国政府はいわゆる「借金漬け外交」で小国への影響を拡大している。これらの融資条件は不透明で、利益は中国に流れている。中南米3カ国に対して、台湾との関係を断ち切り中国を承認するよう働きかけている

 この演説から、まだ数カ月しか経過していません。大きく情勢が変化しているわけではないことから、2019年の米中関係も厳しいスタートになると考えることになります。むしろ関係悪化が進行することを想定しておくべきでしょう。米中対立は貿易分野から飛び出し、地政学的リスクにまで発展する可能性もあると考えます。

 このことから、2019年の株式投資における個別銘柄選択はまず、米中対立の影響を受けにくい「内需株」ということになりそうです。幸いにも東京市場には多くの魅力的な内需株があります。特に全体相場が軟化し、株価が安くなっている時こそ安値買いのチャンスとなることは言うまでもありません。