本日の注目通貨
ドル/円:ドル/円下落、112円台へ
火曜日のドル/円は大きく下落。高値は東京時間朝の1ドル=113.65円まで。その後は下げる一方で、1週間ぶりの112円台に入るとNY時間には112.58円まで下げました(チャート1)。
貿易戦争の拡大が「リスクオフ」で株が売られて円が買われるならば、休戦になれば、株高、円安になるはず。しかし、NY株式市場とドル/円は逆の動きをしました。
なぜでしょうか?米中のデタント(緊張緩和)は、米国よりもそれ以外の国々の経済成長にプラスになるという見方から、中国と通商関係の深い豪ドルやユーロが買われてドルが売られたというのがひとつの理由です。
また追加関税については今のところ猶予期間を伸ばしただけで、抜本的解決につながるような具体案も示されていません。米中首脳会談の結果がこうなることはすでに見通されていて、ポジションを仕込んでおいたトレーダーは「セル・ザ・ファクト(事実で売る)」に動いたとも考えられます。本日(5日)がブッシュ元大統領を追悼して米国株式市場が急きょ休場になったこともポジション調整を急ぐ理由になったようです。
ドル/円は113円台後半までは比較的スルスルと戻るのですが、それから先がかなりの難所となっています。上は114.05円。下は112.30円、それが抜けたら111.75円がサポート。
ポンド/ドル:乱高下続く
ポンドは大きく上下した挙句、結局下落。英国がノーディール・ブレグジット(合意なき離脱)になった場合でも、リスボン条約50条に基づき英国はEU加盟国の同意なしに、離脱手続きをくつがえすことが可能だと、EU法務官が仮判断しました。これがポンドにとってリスクオンだとして、ポンド/円は1ポンド=144.76円まで上昇。ただ、英国側が50条を利用することはないと否定したため売り戻されて、逆に142.85円まで大きく値を下げました(チャート2)。
50条がこのように解釈されるとなると、たとえばイタリアに限らず、反ユーロ派が政権をとった国では簡単にユーロ離脱を宣言できることになります。離脱すると騒いで、期限直前になって「やっぱり、やめるのやーめた」といえば勝手に戻ってくることができるからです。ユーロの結束が失われるリスクがあります。
また、この日、メイ政権は離脱案に関する法的助言の概要を公表したのですが、内容の一部のみの公表にとどめたことが議会を怒らせることに。この行為は議会侮辱罪であるとの判断になり、メイ英首相にとっては離脱案の議会採決を前に大きな痛手となりました。これも、ポンド売りの材料になった模様です。