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 日本の株式市場は、米中貿易摩擦激化の懸念や米国IT関連株の下落などから不安定な展開が続いています。こうした状況の中、12月14日に“Special Quotation”(『SQ』)を迎えます。株式市場は『SQ』の前に突然変動率が高まったり、前後で株式市場の方向性が変化することがあります。今回はショートポジションが高水準にある一方、『SQ』前にソフトバンク株の売り出しもあり、不確定要素が多く波乱含みで注目されます。

 

【ポイント1】『SQ』とは先物・オプション取引を決済するための特別清算指数

『SQ』前は変動性が高まる傾向

『SQ』とは株価指数の先物取引やオプション取引などを、決済期日で決済するための「特別清算指数」のことを指します。今回は12月14日に先物取引とオプション取引の清算が行われます。

 投資家は『SQ』に向けて多様なポジションの決済等の対応を迫られます。『SQ』前に何らかの要因で株価が変動した場合にポシションを一気に解消する動きが出て、株価の変動率が大きくなる傾向があります。例えば『SQ』の2日前にあたる2015年9月9日には、要因が明確でない中で日経平均株価は日中に上下1,013.75円の変動幅となりました。

 

【ポイント2】積みあがるショートポジション

『SQ』の週はソフトバンクの申込期間

 空売り比率は一般に40%を超えると高水準とされますが、10月1日~11月27日まで40営業日連続で40%超が続いています。また外国人投資家が、日経225先物とTOPIX先物を10月(大阪取引所の発表、10月1日~11月2日)に約3.5兆円売り越しており、将来買い戻しをもたらすショートポジションが積み上がっています。

 ソフトバンクグループの国内通信子会社ソフトバンクが、12月19日に東京証券取引所に上場します。資金調達額は最大で約2兆6千億円となりますが、その申込期間が『SQ』前の12月11日~14日となります。

 

【今後の展開】今回の『SQ』前は波乱含み

『SQ』前はただでさえ不安心理が高まりがちですが、今回は積み上がったショートポジションを一斉に買い戻すことによる株価上昇と、ソフトバンク株申し込みのための換金売りによる株価下落の可能性があり、波乱含みです。ただし『SQ』前の株価の大幅変動は、ポジション整理のための一時的なものであることに留意する必要があります。ネット裁定残(2.54億株、11月22日現在)は下限に近く株式市場が底値圏にあることを示唆しており、『SQ』後の株式市場は次第に落ち着きを取り戻し、底堅い動きとなる可能性が高いとみられます。