ドル円を動かす3大要素、一番重要なのは「日米金利差」

 為替を動かす要因は無数にありますが、今ホットな話題で重要度の高いものに絞れば、3つあります。

  1. 日米金利差
    ドル金利が上昇し、日米金利差が拡大すると、円安(ドル高)になります。
    ドル金利が低下し、日米金利差が縮小すると、円高(ドル安)になります。
  2. 政治圧力
    米国政府筋から、円安を非難する発言が増えると、円高(ドル安)が進みます。米国政府が、円安を容認している間は、円安(ドル高)が進みやすくなります。
  3. 世界的な株高・株安
    世界経済に不安が広がり、世界的な株安が起こると、安全資産として「円」が買われます。これを、「リスクオフの円高」と呼びます。不安が緩和し、世界的な株高が起こると、金利の低い「円」は売られます。「リスクオンの円安」が起こります。

 中でも一番重要なのが、1.日米金利差です。米FRBは今、利上げを続け、「金利の正常化」を目指しています。一方、日銀は、大規模金融緩和を長期的に継続する方針です。日米の中央銀行の言っていることを、言葉通りに受けとめれば、ドル金利はさらに上がり、日米金利差が開き、円安(ドル高)が進むことになります。

 

日米金利差(2年金利)で動く、ドル円為替レート

 最近10年間のドル円の動きは、日米2年金利の差で、ほぼ説明できます。

日米の2年金利(残存2年の国債利回り)と日米金利差(2年金利の差):2008年1月~2018年10月16日

注:楽天証券経済研究所が作成

 

 次に、ドル円の動きと日米金利差を比較します。

ドル円為替レートと、日米2年債利回りの差:2008年1月~2018年10月16日

注:楽天証券経済研究所が作成

 

 過去10年を見ると、おおむね日米2年金利差と、ドル円は連動していることが分かります。ただ、厳密にいうと、以下のように細かい相違があります。

【1】2008~2011年

 日米金利差の縮小にしたがって、円高(ドル安)が進みました。

【2】2012~2014年

 日米金利差が少ししか拡大していないのに、大幅な円安が進みました。2年金利の差では説明できない程、円安の進行が大きかったということです。

【3】2015~2016年

 日米金利差が拡大する中で、円高が進みました。行き過ぎた円安に修正が起こったと見ることができます。

【4】2017~2018年

 ドル円は上下とも大きくは動かないレンジ相場となりました。日米金利差がさらに拡大し、ようやく行き過ぎた円安は修正されました。現在のドル円は、金利差から見て、ほぼ妥当な水準と見なすことができます。