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『USMCA』(米国・メキシコ・カナダ協定:USーMexicoーCanada Agreement)は、NAFTA(北米自由貿易協定:North America Free Trade Agreement)に代わる新しい貿易協定です。雇用吸収力の大きい自動車産業の国内回帰等を狙いとするもので、各国議会での批准等を経て2020年1月の発効が見込まれています。
【ポイント1】NAFTAに代わる新貿易協定『USMCA』
『USMCA』の発効は2020年となる見通し
2018年9月30日に、米国とカナダは新しい貿易協定の合意に達しました。既に米国とメキシコは8月に合意に達しています。新しい貿易協定はNAFTAに代わるもので、『USMCA』(United StatesーMexicoーCanada Agreement(米国・メキシコ・カナダ協定)と呼ばれます。各国議会での批准等を経て2020年1月1日に発効する予定です。
【ポイント2】最大の争点とされる自動車産業では、原産地規則を強化
最低賃金条項も盛り込まれる
NAFTAからの大きな変更点としては、自動車、農産物、繊維製品の貿易に係る規定等が挙げられます。
雇用吸収力が大きく、それだけに注目度の高い自動車産業では、『USMCA』域内における関税ゼロの条件として、域内原産地比率を現行の62.5%から75%に引き上げる、時給が16米ドル(約1,800円)以上の高賃金労働者による生産比率が40〜45%である等の要件を満たすことが求められています。
さらに、完成車の生産者が、特恵関税の適用を受けるための条件として、鉄鋼、アルミの70%を北米域内で調達すること、等が挙げられています。自動車以外でも化学製品、鉄鋼製品、ガラス、光ファイバー等の工業製品の原産地規則が、より厳しくなっています。
【今後の展開】注目される中間選挙に及ぼす影響
このように『USMCA』は、域内の貿易・投資の拡大につながるような自由貿易協定とは異なります。トランプ大統領の「アメリカ・ファースト」を実現するためのものであり、2国間交渉による合意を基本としたものです。
『USMCA』合意は、11月6日予定の中間選挙において、劣勢が伝えられる下院共和党にプラスに働く可能性があります。「公約を必ず守る」大統領として、トランプ大統領の姿勢を再評価する動きも見られるだけに、選挙動向は要注目と言えるでしょう。