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 第2次安倍内閣以降の政権運営に対する評価を問う自民党総裁選は9月20日に投開票されました。結果は国会議員405票については事前予想通り、安倍首相の圧勝となりましたが、党員・党友による地方票405票は、石破元幹事長が事前予想を上回り、約45%を獲得しました。総裁選の結果を受けて、今後3年間の政局運営に重要な影響を与えるとみられる10月2日予定の『内閣改造・党役員人事』が注目されます。

 

【ポイント1】地方票は石破元幹事長が予想以上の善戦

安倍首相は憲法改正や社会保障の抜本改革に取り組む方針

 首相陣営は優勢な議員票に加えて地方票でも7割以上の得票を獲得し、総裁選後の党運営に弾みをつけるのが基本戦略でした。議員票は、主要派閥の支持を得て、想定通り8割を上回りました。一方、地方票は石破元幹事長が予想を上回る約45%を獲得し、想定外の結果となりました。注目された小泉筆頭副幹事長は、石破氏に投票しました。

 安倍首相は、任期の3年間でアベノミクスの継続、憲法「9条の2」を新設して自衛隊を明記する改正案の早期発議、社会保障における雇用や年金、医療の抜本改革などに取り組むと見込まれます。

 

【ポイント2】『内閣改造・党役員人事』は10月2日の予定

中心メンバーは留任の方向

 10月2日予定の『内閣改造・党役員人事』は、挙党体制の確立や、地方票の約45%を獲得し一定の影響力を残す形となった石破氏や石破氏を支持した議員の処遇などが焦点となります。

 注目される『内閣改造・党役員人事』では、内閣の骨格は維持し、麻生副総理・財務相や菅官房長官、茂木経産大臣、党三役では二階幹事長などを留任させる意向と報じられています。

 また首相は10月下旬にも召集する臨時国会に党の憲法改正案を提出する意向を示しています。提出には党総務会の了承が必要なため、総務会長人事も注目されます。

 

【今後の展開】目に見える成果が期待される

 アベノミクスの大胆な金融緩和や機動的な財政出動は、名目GDPの成長、株式市場の大幅な上昇などをもたらした一方、その持続性や副作用について懸念する声も聞かれます。経済以外でも、日米の貿易協議、対朝、対中交渉など懸案事項も控えています。首相が求心力を維持しつつ、これらの問題で目に見える成果を上げていくことが期待されます。