排ガス規制の強化が加速、一部地域では19年1月に「国6」前倒し導入へ
中国で自動車排ガス規制の強化が加速している。国務院は18年7月初め、『青空防衛戦に勝利するための3年行動計画』を発表。一部地域を対象に、新たな排ガス基準「国6」(第1段階は「国6a」)の導入時期を当初予定の20年7月1日から19年7月1日へ、1年前倒しする方針を明らかにした。また、一部の地方当局はこれよりさらに早く、19年1月に「国6」基準を適用する意向を表明。広州市や深セン市に至っては、「国6a」という過渡期を設けず、一足飛びにより厳しい「国6b」(中央政府は23年7月に導入する方針)を適用する計画を明らかにしている。
まず19年1月に「国6」導入を予定しているのは北京市、天津市、河北省、河南省、山東省、海南省、広州市、深セン市、成都市で、これら地域の乗用車販売台数は18年上期に国内全体の約31%を占めた。続いて19年7月には、「国6」が乗用車販売台数にして約6割を占めるエリア(北京周辺や長江デルタ、珠江デルタ一帯など)に広がる。
生態環境部傘下の自動車排ガス・モニタリングセンターによると、9月13日現在、「国6」基準を満たしているのは28社の333車種(情報項目443)。中国の独自開発ブランドは明らかに遅れを取っており、「国6」対応リスト全体に占める割合はわずか5%と、中外合弁ブランドの69%、輸入車の27%を大きく下回った。国産ブランドメーカーで「国6」リスト入りしたのは、上海汽車集団(600104)、栄威MG、広汽伝祺、吉利汽車(00175)、重慶長安汽車(000625)の5社にとどまっている。一方、中外合弁メーカー、特に日系とドイツ系ブランドは本国の排ガス基準をクリアしてきた経緯から「国6」対応においても先行しており、基準をクリアした情報項目の数では、東風日産が最多。以下、上海VW、BMWブリリアンスが続いた。
BOCIは「国6」基準の前倒し導入による影響を、販売台数と採算性の点から以下のように分析している。まず、既存モデルが「国6」に対応しきれていないメーカーは、少なくとも19年上期においては不利。例えば、吉利汽車は既存モデルの19年上期のアップデートを計画しており、短期的には一部地域で苦戦する可能性がある。ただ、吉利汽車のエンジン基準は他の自主ブランドを上回り、最終的には技術面で劣る自主メーカーを突き放す可能性がある。企業の採算性に関しては、「国6」導入の初期段階で1台当たりの製造コストが約3,000元上向くと予想。その後の販売増でコスト効率は改善するとしながらも、ハイエンド車種より低コスト車種にとって負担が大きいとした。競争環境が厳しい新車市場において、消費者への価格転嫁がどの程度可能か疑問視している。
いずれにせよ、まずは「国6」の早期導入を計画している地方当局が今後発表する詳細規定が注目される。BOCIによると、最終的な要件や「国6」基準の履行状況が、業界全体やメーカー各社への影響をかなり大きく左右する見通しという。