先週は、米国株高、円安基調の中で、トルコ中央銀行の大幅利上げ好感し2万3,000円台回復

 前週末の7日(金)に▲180円の2万2,307円へ。25日には、75日、200日移動平均線を切って引け、先週の予測では、テクニカル的には下値模索の可能性がありました。米中貿易摩擦の激化がなければ2万2,000~2万2,500円のレンジ内での軟調な動きを想定しました。一方でこれら移動平均線のフシとなるところで出来高、売買代金が低水準。米国株高、ドル高、円安となれば戻りは早いかもしれない、と予測しました。

 結果的に、週前半は円安基調で反発に転じ、先物主導で一気に2万2,600円台を回復しました。その後は、米中貿易摩擦の落ち着きとNYダウ高、さらに週後半は、トルコ中央銀行が予想以上の大きな利上げを行ったことで新興国通貨安に対する懸念が後退。米国の株高、ドル高を受け週末の日本株式は+273円の2万3,094円と7カ月ぶりに2万3,000円台を回復して引けました。

 9月10日(月)は、前週末の米国株安を受けたことと、対中国の貿易摩擦の懸念もあり▲53円の2万2,253円で寄り付きました。しかし円が弱含むと、先物主導でプラスに転じ、後場の大引け間際には+89円の2万2,396円まで上昇して+66円の2万2,373円と7日ぶりの反発となりました。

 11日(火)は、米国市場で半導体指数が反発したことで、ナスダックとS&Pが5日ぶりに反発。+96円の2万2,469円で寄り付きました。円安基調もあって先物主導で値がさのハイテク株が買われ、終値は+291円の2万2,664円とマドを空けて上昇し、大幅続伸となりました。予想外の上昇でしたが、「円安をサポートに、外国人投資家の週末のSQに絡んだ先物買いによるものだ」という一部報道もありました。

 12日(水)、前日の米国株式は3指標そろって大幅上昇でしたが、日経平均は前日に先物主導で一方的な上げ方をした反動で反落し、一時▲142円の2万2,522円まで下げました。終値では▲60円の2万2,604円と、3日ぶりの反落となりました。

 13日(木)は、寄り前発表の7月機械受注が市場予想を上回り、米中の貿易摩擦の落ち着きへの期待感が強まり、前場は先物主導で+253円の2万2,858円まで上昇。しかし買い一巡後は上値重く、後場は2万2,800円前後で50円幅強でのもみあい状況が続き、終値は+216円の2万2,821円で着地しました。

 14日(金)は、米国とカナダの通商交渉の進展期待が高まる中、トルコ中央銀行が大幅な利上げに踏み切ったことで新興国の通貨安への懸念が後退し、米国株が3指標そろって大幅高へ。ドルも1ドル=112円近辺まで買われ、日経平均株価は+214円の2万3,035円で寄り付き、2万2,965円まで押し目を入れた後は、2万3,000円台でのもみあいとなりました。後場には+283円の2万3,105円まで上昇し、+273円の2万3,094円と7カ月半ぶりに2万3,000円台乗せで引けました。この日、先物オプションの9月限は2万3,057円となり、終値はこれを上回って引けました。

 17日(月)は敬老の日で日本市場は休場でしたが、この日の米国市場は、米国が中国に対して提案した通商交渉再開の拒絶を検討しているということで売り先行へ。トランプ政権が中国に対して第三弾の追加の制裁関税を発動の予定を嫌気し、3指標そろって反落(NYダウ▲92ドルの2万6,062ドル、ナスダック▲114Pの7,895P、S&P▲16Pの2,888P)となりました。シカゴの日経先物は+45円の2万3,015円でした。

今週は、為替の落ち着きで戻り試すも、米中貿易摩擦は引き続き要注意

 テクニカル的には先週末の14日(金)に9月の先物オプション(SQ値)の2万3,057円を上回る+273円の2万3,094円で引け、今年の2月2日の終値2万3,174円以来、7カ月半ぶりの高値水準となりました。

 為替からみると、米国市場では追加の利上げは9月・12月との観測で、ドル買い・円安基調であり、日経平均は戻りを試す可能性が高いと思われます。ただし、トランプ政権は11月の中間選挙までは貿易の赤字削減のために貿易摩擦を仕掛けてくるため、一方的な戻り相場にはなりにくいと思われます。また、来週も三連休のため、週末にかけて手控えムードとなる可能性があります。

 三連休明けは、朝方にトランプ大統領が「第三弾の対中制裁関税を24日に発動する」と発表したことで、日経平均は大きく下げて始まるのではないかとみていましたが、売り先行で▲55円の2万3,039円まで下げたあとは、先物主導で切り返し、外国人投資家の強烈な買い戻しが入って+259円の2万3,382円まで上昇。前引けは+248円の2万3,342円でした。為替がほとんど動かなかったことで、目先織り込み済みという見方からアク抜けの形となって上昇したようです。後場になっても上昇の勢いは衰えず、そのまま高値圏で推移し、終値は+325円の2万3,420円と高値引けとなりました。

 

(指標)日経平均

 今週は、米中貿易協議の再開の合意に向けた調整が順調ならば、米国株高・円安基調を受け、戻りを試す可能性があります。目先の上値は2月2日のザラ場高値2万3,122円という壁を本格的に上抜けるかどうか。米中貿易摩擦に関しても、トランプ大統領が引き続き2,000億ドル規模の中国製品に追加の関税をかける発言があり、マイナス要因となります。

 

(指標)NYダウ

 今週の週始めはハリケーン「フローレンス」の被害状況を受け、一部の関連銘柄が業績への影響を受けると思われます。一方で米中通商協議の再開措置を受け、貿易摩擦懸念が後退しており、日程が具体的に決まれば投資家心理は改善されることになります。

 また、カナダとのNAFTA(北米自由貿易協定)再交渉が注目されます。トランプ大統領の対中国第三弾の追加税制を予定しているため、株価の上値は重くなります。

 

(指標)ドル/円

 今週は、来週の9月25~26日にFOMC(米連邦公開市場委員会)を控え、追加利上げは確実視されています。しかし、前週末の消費者物価指数は予想を下回ってインフレ圧力が減少しており、12月にも想定されていた追加利上げの行方が気になります。経済指標を見極めながらのドル買いとなりそうですが、トランプ政権の貿易赤字削減に向けた通商政策は11月の中間選挙までは続く可能性があり、ドルは上昇しても上値は限定的。1ドル=111~113円のレンジが想定されます。