先週は、米株安、ドル弱含み、台風、北海道地震受け、一時2万2,200円割れ

 先週は、予想外の台風の被害、北海道地震が起きたことで、8月24日に上に抜けた日経平均株価は、7日(金)に一時2万2,172円まで下げ、▲180円の2万2,307円で引けました。週の前半、中盤にかけては、米国のカナダや中国との通商政策の不透明さや、米国市場でハイテク株主体のナスダックが大幅安となり、為替も円高基調となったことが、日経平均の下落の要因でした。

 9月3日(月)は、米国とカナダのNAFTA(北米自由貿易協定)の交渉が合意できず、対中追加制裁に対する発動への懸念から上海株式が下落。一時▲180円の2万2,684円まで下げ、終値は▲157円の2万2,707円と続落しました。

 4日(火)は、前日の米国市場はレーバーデーで休場でしたが、米株価先物が堅調だったことで+32円の2万2,740円と買い先行で始まりました。しかし、材料に欠け方向性のない展開となり▲95円の2万2,612円まで下落。その後はは、前日の終値水準を挟んでもみあい、▲10円の2万2,696円の小幅続落となりました。

 5日(水)は、米通商政策の先行き不透明感から売り先行で始まり、前引けは▲65円の2万2,631円に。後場になると上海株式が一段安となったことを嫌気し、▲126円の2万2,570円で寄り付き、ここをこの日の安値にしてもみあい▲116円の2万2,580円と4日続落で引けました。

 6日(木)は、前日の米国市場では、NYダウは+22ドルの小反発だったものの、11月の米中間選挙に向けてSNSに対する規制強化懸念が高まり、ツイッターやフェイスブックなどが軒並み下落。他のIT株も連動したことでナスダックは▲96Pの7,995Pとなりました。これを受けて日本市場は、ハイテク株関連を中心に売られ、為替は円高基調となっていることもあり、一時▲164円の2万2,416円まで下落。終値は▲92円の2万2,487円と2万2,500円を切り、7カ月ぶりの5日続落となりました。

 7日(金)は、前日の米国市場でNYダウは続伸となったものの、ナスダックは市況悪化懸念から半導体が大きく売られ、▲72Pの7,922Pと3日続落。トランプ米大統領が日本への貿易戦争をほのめかしたことで、為替が一時1ドル=110.52円の円高となり、日経平均は▲136円の2万2,351円で寄り付きました。さらに予想外の台風被害と北海道地震による被害への影響懸念から、一時▲315円の2万2,172円と2万2,200円を下回る動きとなりました。終値では日銀によるETF(上場投資信託)買い期待から買い戻しを誘いましたが▲180円の2万2,307円と6日続落で引けました。

7日(金)の米国市場は、注目の8月雇用統計は、非農業部門雇用者数は予想を上回り、賃金も9年2カ月ぶりに大きく上昇。インフレ圧力が強まるとの見方から利上げペースの加速観測が高まりました。株式市場は、トランプ大統領が中国からの輸入品に対して2,670億ドル(約30兆円)相当の追加制裁の用意があると表明したことで3指標そろって下落となりました。シカゴ日経先物は▲35円の2万2,345円でした。

 

今週は、2万2,000~2万2,500円のレンジの中で、米中貿易摩擦の激化なければ、軟調な展開を想定

 日経平均株価は、2万3,000円の厚い上値の壁に4度跳ね返されました。週末に、25日、75日、200日の移動平均線を一気に下回ったことで、今週は相場環境によっては、下値を探る展開の可能性もあります。

 テクニカル的には、2万2,000~2万2,500円のレンジの中で、米中貿易摩擦の激化に加え、日米貿易摩擦が懸念されてくると、2万2,000円を試す動きになる可能性があります。 一般的には、25日、75日、200日の移動平均線を切ると調整が長引くのがですが、前回はすぐに回復しました。その理由は、市場の出来高、売買代金の低水準にあります。

 つまり、それぞれのフシのところで大きな出来高がないため、強いフシになっていないためです。今回も2万2,000円を守れば米国株高、ドル高となれば戻りは早いかもしれません。一方で2万2,000円を大き割り込めば、調整が長引くことになります。その場合の下値のメドは、8月13日の2万1,851円、その下は7月5日の2万1,462円があります。チャート的には、2万1,500円水準です。

 今週は、トランプ政権の新たな対中国への追加関税の可能性、日本への貿易是正の要求懸念、米国債の入札、週末のSQ算出が注目されます。

 9月10日は、先週末の米株安を受け▲53円の2万2,253円で始まりましたが、下げは限定的で、売り一巡後はプラスに転じ、一時+75円の2万2,382円まで上昇しました。後場は上値は重いものの小幅のプラスのままで推移し+66円の2万2,373円で引けました。

 

(指標)日経平均

 今週はテクニカル的には、先週末に25日、75日、200日の移動平均線を切って引けたので、2万2,000~2万2,500円のレンジの中で、下値を模索しそうです。先週末は一時2万2,200円を切ったのは、想定外の大風被害と北海道地震の影響もありますので、これらは落ち着けば織り込み済みとなりますが、トランプ政権の貿易是正のターゲットが日本にも当てられており注意が必要です。

 

(指標)NYダウ

 今週は、米通商政策の行方が注目されます。カナダとのNAFTAの再交渉で早期に合意できなければ、株式市場にとってマイナスになり、また、トランプ政権に先週、新たに中国の輸入品2,670億ドル(約30兆円)に対する関税引き上げを表明しており、米中貿易摩擦が激化してくれば株価の上値はますます重くなります。

 

(指標)ドル/円

 今週は、米中貿易摩擦の激化やカナダとのNAFTAの再交渉、さらに日米貿易摩擦の再燃の可能性もあり、ドルは買われにくい状況といえます。8月雇用統計は予想を上回り、9月の追加利上げは確定的ですが、12月の追加利上げも期待が高まり、ドル買い要因といえます。しかし、ここにきて高官の一部から金利上昇への慎重論が出ており、ドルが大きく買われる局面ではなくなってきています。基本レンジは1ドル=110~112円。