加入後の「今」。予想以上のイニエスタ旋風を直撃取材!
「世界屈指のサッカープレイヤー 元スペイン代表MFアンドレス イニエスタ選手が、FCバルセロナからヴィッセル神戸に完全移籍」のニュースが発表されたのが今年の5月。その後W杯が終わり、ヴィッセル神戸のメンバーとして初出場したのが7月22日です。わずかな期間で、イニエスタ選手が日本のサッカー界に与えたインパクトは予想以上だった…。
今回は、神戸のFMラジオ局 Kiss FM KOBEで毎週ヴィッセル神戸の情報をお届けしているDJ中野耕史が、楽天証券スポンサー試合を直撃取材。イニエスタ選手加入で激変するヴィッセル神戸についてレポートします!「後編・イニエスタ選手の経済効果はいくら?」記事もあわせてご覧ください。
イニエスタ選手加入時のファーストインパクト
「イニエスタ選手がヴィッセル神戸に来る!」というニュースが届いた時、僕はKiss FM KOBEの朝番組4SEASONSをOA中。ちょうどその日にヴィッセル神戸の情報を発信するコーナー「ヴィッセル・スクール」があり、ヴィッセル神戸の関係者にイニエスタ選手のことについて聞いてみました。すると現場でも詳しい情報を確認中でまだ返事はできない…とのこと。
ヴィッセルの選手の中には「自分がイニエスタ選手と同じチームでプレーするなんて信じられない」とコメントするなど、現場でも「まさか…」という驚きを隠せない状況でした。その後開催のW杯ロシア大会の中継では何度もイニエスタ選手のヴィッセル神戸加入の話題が出て、ヴィッセル神戸は世界中から注目されるチームになりました。そしてW杯が終わった直後の7月22日にイニエスタ選手はヴィッセル神戸の一員として初出場。そこから文字通り「劇的な変化」をチームにもたらしています。
現地でみえてきた「イニエスタ効果の即効性」
イニエスタ選手が神戸に来て1カ月経たたない中、すでにイニエスタ効果は抜群で、ヴィッセル神戸が確実に強くなっているという事が、目でみて実感できる。その理由は、ファンやサポーターから「魔法使い」と形容されるイニエスタ選手の高度なボールコントロールの技術だ。さらに、数手先のプレーを瞬時に読む高度な洞察力から放たれる、創造性あふれるパスセンスも。スタジアムで彼のプレーを観るだけで実感する、溜息が出るほどの才能です。当然、対戦チームはイニエスタ選手を警戒してプレッシャーをかけてくるが、一方でイニエスタ選手に集中しすぎると、周りでフリーになっている選手に「ふわり」とパスを出されてしまう。そのパスのスピード・タイミングは抜群で、一気にチャンスを作り出す。
逆に周りへのパスを警戒していると、今度はイニエスタ選手自身がゴール前に持ち込んでシュートを決めてしまう。押しても引いても対応してくるイニエスタ選手は、相手チームにとって攻め手を絞れない「嫌な存在」となり、味方にとってはイニエスタ選手を信じてゴール前に走り込めば良いパスが出てくるという「心強い存在」になっている。
英雄が入ればチームは変わるのか?
ヴィッセル神戸には、昨年の7月に加入したルーカス ポドルスキ選手がいます。2014年のW杯ブラジル大会を制したドイツ代表の「10番」を背負い、ドイツ代表歴代3位の国際Aマッチ通算48ゴールをあげたフォワード。「あのポドルスキ選手のプレーが日本で観られる!」というニュースも日本だけでなく欧米でも大きな驚きをもって伝えられました。実際に僕・中野耕史もヴィッセル神戸のホームスタジアムで観るポドルスキ選手の姿に心を躍らせ、彼の左足から放たれる強烈なシュートも目の当たりにして、その次元の違う迫力に驚愕!
ただ彼が加入したヴィッセル神戸が、劇的に成績をあげたかというと、昨年の結果は厳しいものになった。ポドルスキ選手の実力が素晴らしいのは間違いないのだが、彼を活かせるチームになっていない…そんな印象も受けました。そこで今シーズンはポドルスキ選手をキャプテンとして、彼を中心にチーム力の強化もはかっていたヴィッセル神戸。そこに届いたのがイニエスタ選手加入のビッグニュースでした!
イニエスタ選手とポドルスキ選手のホットラインが完成し、進化するチーム
試合Check!「ヴィッセル神戸vsサンフレッチェ広島戦」
(2018/8/15開催:楽天証券スポンサー試合にて)
8月15日の試合でも、ヴィッセル神戸は現在リーグ首位を独走するサンフレッチェ広島を相手に堂々と渡り合った。特徴的だったのは前半15分に先制点を奪われた直後。ポドルスキ選手からのパスを受けて、ゴール前でたっぷりとタメを作ったイニエスタ選手は、味方がゴール前に駆け込んでくるのを待ってパスを出す…と思いきや、相手の裏をかいて自らゴール前に切り込み見事同点ゴールを決めてみせた。
これは僕たちがJリーグで観てきたレベルの技じゃない、明らかに世界トップレベルと実感できるゴール・シーンでした。これでイニエスタ選手のゴールは2試合連続です。4日前の8月11日に行なわれた前の試合でも、ポドルスキ選手が出した鋭いスルーパスを受けたイニエスタ選手は華麗に反転してDFをかわし、さらにドリブルでGKもかわしてシュートを決めた。これぞワールドクラスの競演!と、スタジアム全体が沸きあがる見事なゴールでした。
イニエスタ選手が来て、ポドルスキ選手も活き活きとしたプレーが増えたように感じます。自らゴールを決められる世界屈指のストライカーですが、そのゴールへの嗅覚からフリーの選手を見つけ出し絶妙のパスを出すこともできる。このポドルスキ選手のパスを受けてイニエスタ選手のゴールを決める!というホットラインが2試合連続で機能。これが今のヴィッセル神戸の強さ。さらに、この二人を基点として他の選手も自分たちの役割を見つけ出し、チーム力が上がっているように感じます。
このサンフレッチェ広島戦の4日後の8月19日には、「ヴィッセル神戸vs湘南ベルマーレ戦」が行なわれました。湘南ベルマーレには前回の対戦で0-3と完敗。しかし、ヴィッセル神戸はイニエスタ選手の加入から、わずか1カ月で進化していました。
この日はイニエスタ選手の出したパスに、新加入のフォワード長沢選手が反応してヘッドでボールを落とし、そこに三田選手が飛び込んで相手を交わしてゴール! さらに、後半31分にはポドルスキ選手の強烈なシュートのこぼれ球に郷家選手が飛び込んでJリーグ初ゴール! どちらも、イニエスタ選手やポドルスキ選手のプレーに対して、他の選手が見事に反応してゴールを生み出しています。イニエスタ選手とポドルスキ選手を中心に、ヴィッセル神戸はまだまだ強くなると予感させてくれるシーンでした。
後編はコチラ >>
経済Check!イニエスタ効果を「経済」の視点でみてみました
ラジオDJ 中野耕史
神戸のFM局 Kiss FM KOBEで2000年から継続して番組を担当するラジオDJ。神戸の朝の声として、自分の足で街を歩き、そこで体験・発見した独自の情報を発信する。最近はDJのみならず、番組の制作業務にも携わっている。また、スポーツ分野では、KONAMIのゲームソフト「実況パワフルプロ野球」のスタジアムDJの声も担当中。
※勝負の世界に身を置く「アスリート」と「投資家」には、共通点も多々あるのでは? トウシルでは「スポーツ×経済」をテーマに、アスリートの“今”をお届けしていきたいと思います。
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