日本でも注目したい「連続増配銘柄」(参考ポートフォリオ)

 近年は日本市場でも「株主を意識した経営」を重視する企業に対する評価が強まっています。とは言っても、日本で米・配当貴族指数(25年以上連続して増配してきた銘柄)に該当する銘柄は、今年度で連続増配が「29年(期)」に及ぶと見込まれる花王(4452)しかありません。

 図表4では、国内市場で注目したい「連続増配銘柄(5銘柄)」を参考ポートフォリオとして示しました。

 5銘柄の共通点としては、内外景気のサイクル、米国の政治動向、為替変動から比較的影響を受けにくい「ディフェンシブ(安定成長)業種」である特徴が挙げられます。5銘柄の予想配当利回り(算術平均)は1.4%で、市場平均(TOPIX)の予想配当利回り(2.2%)よりもやや低くなっています。

 これは、「連続増配」や「安定成長」に期待するプレミアムが株価に反映されているからと考えます。逆に言えば、業績面の成長期待が低く、減配リスクがある銘柄の予想配当利回りは総じて高めである可能性があります。実際、図表4に示した「年初来騰落率」「1年総収益率」「5年総収益率」(年率)の5銘柄平均は、各期それぞれのTOPIXの騰落率や総収益を大きく上回ってきたことがわかります。

 今後も、米国政治、貿易摩擦、地政学リスク、為替を巡る不安がくすぶり、株価は短期的に揺れる可能性があります。

 こうした中、「株式投資の原点」とも言える「配当の安定成長」に注目する投資戦略として「連続増配銘柄への分散投資」に注目したいと思います。

図表4:日本の主な「連続増配銘柄」(参考例)

コード 銘柄名 連続
増配
株価

年初来
騰落率

1年
総収益
5年
総収益
配当

配当
利回り

4452 花王 29年 8,270.0 8.5 23.3 23.9 121.06 1.5
4967 小林製薬 20年 7,600.0 3.8 12.4 22.6 62.33 0.8
9433 KDDI 17年 2,971.0 5.9 2.5 15.2 100.28 3.4
8113 ユニ・チャーム 17年 3,388.0 15.7 29.3 14.2 24.31 0.7
6869 シスメックス 17年 9,040.0 2.0 36.8 26.6 68.35 0.8
連続増配銘柄<参考例>平均 7.2 20.9 20.5 1.4
TOPIX (東証株価指数) 1,698.22 -6.6 8.7 10.9 37.95 2.2
単位は、株価、配当は円。騰落率、総収益、配当利回りは%。総収益は年率。注:配当と配当利回りは予想で、Bloomberg集計による市場予想平均。
出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2018年8月23日)
 

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