先週は、想定通り2万2,500円をはさんだもみあいで引ける

先週の結果

 日銀金融政策決定会合では、想定内の結果(長期金利の上限を0.2%を認める)でインパクトはなく、FOMC(米連邦公開市場委員会)では、政策金利は据え置かれました。声明文では、穏やかな利上げを強く主張、9月の追加利上げが示唆されました。

 しかし、日米金利差拡大期待は盛り上がらず日経平均株価は想定通り2万2,500円をはさんだ上下動となりました。安値が7月31日(火)の2万2,352円、高値が8月1日(水)の2万2,775円で、週の終値は2万2,525円でした。

 この動きは直近の価格帯別の累積出来高の厚いところと一致します。7月第2週に外国人買いが膨らんで2万2,400~2万2,800円のゾーンで売買が行われました。
 需給関係で考えると現在の水準の売買代金では、このレンジを抜け脱すことは難しく、出来高、売買代金の増加を待つところです。

 7月30日(月)は、先週末の米国株式が3指標そろって下落(特にナスダックは大幅な2日続落)したことで、▲99円の2万2,613円で寄り付きました。ハイテク株中心に、一時▲193円の2万2,518円まで下げ、▲167円の2万2,544円で引けました。

 31日(火)は、前日の米国市場で3指標の続落を受け、1ドル=110.92円までの円高へ。▲72円の2万2,472円で寄り付き、一時▲192円の2万2,352円まで下げました。売り一巡後は、後場からの日銀金融政策決定会合を前に下げ幅を縮小。後場は日銀会合の結果を受けて、一時+133円まで浮上しました。日銀は長期金利の柔軟化(0.2%を容認)などを決定しましたが、事前の報道に似通った内容でインパクトはありませんでした。イベント通過の買い戻しを誘っただけで、その後、再びマイナス圏に入り、終値は+8円の2万2,553円で引けました。

 8月1日(水)は、前日の米中通商協議再開報道を好感して、米国株高、円安となっていたことで+88円で寄り付きました。一時+221円の2万2,775円まで上昇、終値は+192円の2万2,746円と続伸して引けました。

 8月2日(木)は、前日の米国市場で、トランプ大統領が対中国に対する輸入関税を従来の10%から25%にするとしたことで、米中貿易摩擦が再燃。FOMCの声明文は強い内容で9月の追加利上げを示唆しましたが、為替はやや円高方向となっていました。日経平均は▲69円の2万2,676円で寄り付き、後場になると米中貿易摩擦を嫌気して上海株式が下げ幅を拡大。そこから、一時▲281円の2万2,464円まで下げました。

 その後は安値圏でのもみあいとなり、終値は▲234円の2万2,512円となりました。
3日(金)は、+73円の2万2,585円で寄り付き、一時+100円の2万2,613円まで上昇するものの、米国の7月雇用統計を前に様子見ムードとなり、終値は+12円の2万2,525円で引けました。

 8月3日(金)の米国市場は、注目の7月雇用統計。非農業部門雇用者数は予想の+19.0万人を下回る+15.7万人だったものの、失業率は3.9%と市場予想と一致、平均賃金も一致、7月ISM非製造業指数は予想をやや下回りました。10年債利回りはやや低下したものの、穏やかな利上げ見通しは維持され、株価は3指標とも上昇となりました。シカゴの日経先物は+45円の2万2,555円でした。

 

今週も強弱材料や投資家の夏期休暇増え、2万2,500円をはさんだもみあい続く

 今週も先週に引き続き2万2,300~2万2,800円のレンジ内の動きが基本となりそうです。10日の内閣府発表の4-6月期GDP(国内総生産)速報や、この間に発表のピークとなる4-6月決算が好調ならば、戻りを試すことも考えられます。しかし、すでに2万3,000円を上値のフシに3回チャレンジして跳ね返されていますので、上値は限定的といえます。

 日本では投資家のお盆休み、米国では9月3日のレーバーデーの祝日まで夏季休暇に入る投資家も多く、閑散取引となる時期です。いったんポジションを手仕舞う動きが相場全体の活気をなくさせる場合もあります。一方でトランプ大統領は11月の中間選挙までは貿易摩擦を長引かせる可能性があり、為替のドル安への口先介入も気になるところです。

 8月6日は、前週末の米国株高受け、買い先行で+110円の2万2,635円まで上昇するものの、後場、上海株式が軟調となると上げ幅を縮小し、マイナス圏入りとなって大引けは▲17円の2万2,507円で引けました。

 

(指標)日経平均

 今週は、相場環境としては、米中貿易摩擦の再燃が懸念される中、10日は4-6月期決算発表のピークを迎え、また、4-6月期GDPの速報値の発表があるため、内容によっては戻りを試す場面も考えられます。ただ、9日には日米の貿易協議がワシントンで開かれ、対日通商姿勢がどうなるのか注目されます。基本レンジは先週と同じように2万2,300~2万2,800円となります。 

 

(指標)NYダウ

 先週は、上値は2万5,500ドル、下値は2万5,000ドルの狭いレンジでのもみあいに終始しました。週始めは前週の4-6月期GDPが4%台を記録したことで、ドル、株は買われました。しかし、4%台の成長は維持できないとの見方が浮上し、ドルと株は売られました。  

 その後、FOMCの声明文では9月の追加利上げを示唆する発言でドルが買われ、一方で米中貿易摩擦の激化懸念でドルが売られるという強弱が対立し、株価は上にも下にもいきにくい状況となりました。週末の注目の雇用統計は非農業部門雇用者数は予想を下回ったものの、失業率や平均賃金は市場予想と一致したことで、10年債利回りはやや低下したものの穏やかな利上げ見通しが維持されました。

 先週は、トランプ大統領が対中輸入関税を従来の10%から25%にすると示唆したことで、貿易摩擦懸念が再燃。今週は米中貿易交渉の行方が注目されます。全体的には、9月3日のレーバーデーまで夏季休暇に入るため、閑散取引となる時期に入ってきます。いったんポジションを手仕舞う動きも出てくるため、上値は限定的とまります。

 

(指標)ドル/円

 今週も引き続き1ドル=110~113円のレンジの中で、ドルがしっかりした動きとなりそうです。FOMCの声明文では、米国の経済の力強さが強調され、FRB(米連邦準備制度理事会)が9月と12月に追加利上げを決定する見方が広がっています。問題はトランプ大統領。為替に対する口先介入があればドルの上値は押さえられることになります。7月19日の「ドル高は望まない」と発言しており、今後は今年の最高値である113.31円の1つ前のフシである113円に接近すれば、口先介入が出てくる可能性はあります。