正しいお金の使い方
僕は学生の頃、お金にはとてもシビアで、学食2食分を抜いて文庫本を買っていました。それは本を読むことが自己投資、いつか自分の身に戻ってくると考えていたからです。結果、それは正しかった。
学生の頃は誰しも食べたい盛り。でも僕は、お金の使い途を集中させていたのです。何に投資すべきか、何にお金を使うべきか、1点に集中させなければ人は突き抜けることはできない。お金、時間、労力など自分のリソースを1点に集中させることができない人、その勇気がない人は投資には向きません。これを集中させる意思決定力、すなわち前頭葉の力がなければ。
投資に消極的な人の中には、「お金は汚い、投資までしてお金を増やすのか」という考えの人もいると聞きます。しかし、お金がないために自分の大切な人を助けられなかった、喜ばせてあげられなかったという経験があれば、お金は汚いという考えは絶対に出てこないと思います。
僕も学生の頃は「お金じゃない、夢を追うことが尊い」と考えていた時期がありました。
僕は、母をがんで亡くしています。
母は入院中、まだ食事ができていた頃に、東京・六本木にあるイタリアンのおいしい店で「一度でいいから、みんなで食事がしたいね」と話していました。
学生だった僕はそれを聞いたとき、いつか稼ぐようになったら連れて行こうと考え、アルバイトで貯めた10万円でパソコンを買ってしまった。自分の夢を追うためです。
結果的に、母をイタリアンの店に連れていくことはできなかった。それをとても後悔しています。なぜあのとき、夢なんか追ってしまったんだろう、なぜ早く稼いで、母においしいものを食べさせてあげなかったんだろう、母に喜んでもらえるようなことができなかったんだろうと。
これはお金があれば、実現できたことです。お金は汚いと考える人は、お金の使い途、正しい生かし方を知らないのではないでしょうか。
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DaiGOさん(メンタリスト・作家)
1986年11月静岡県生まれ。慶應義塾大学在学中、英国の世界的メンタリスト、ダレン・ブラウンに感銘を受け、メンタリズムの技術を習得。その後、国内唯一のメンタリストとしてテレビ番組に出演し、人気を博す。現在は企業のビジネスアドバイザーやプロダクト開発、作家、大学教授としても活躍中。『「好き」を「お金」に変える心理学』『ストレスを操るメンタル強化術』など著書多数。
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