「歪み」が目立つ東京株式市場。次の動きは「揺り戻し」

 このところの東京株式市場には「歪み(ゆがみ)」が目立っていました。多くの投資家が感じていたこと・・・それは「日経平均株価の水準以上に個別銘柄の多くが安くなった」(=日経平均は高いまま)というものです。

 日経平均株価は日本経済新聞社が選定した「225銘柄」を平均したものですので、値がさ株の寄与度が高くなる傾向があります。ファーストリテイリング(9983)ソフトバンクグループ(9984)ファナック(6954)東京エレクトロン(8035)KDDI(9433)の5銘柄だけで日経平均構成比は20%を超える水準です。

 ファーストリテイリングは7月19日に、ソフトバンクグループは7月17日に、KDDIは7月17日に年初来高値を付けています。このほか、ダイキン工業(6367)TDK(6762)エーザイ(4523)アステラス製薬(4503)などの準高寄与度銘柄も直近で高値を付けていました。日経平均株価は高いままで、他の銘柄との差が大きいという「歪み」は一部の銘柄によって演出されていたのです。

「米中貿易摩擦」に火が点く中で、このような動きが顕在化。投資家はできるだけ流動性が高い、できるだけ評価が定まっている銘柄に資金を移動させたものと考えられます。

 現在は、足元の状況を一旦織り込み、次の動きが出てきたものと見られます。次の動きとは、まずは「揺り戻し」です。これまで買われて高くなったものが調整し、これまで売られて安くなったものが出直るという想定です。

 特に「米中貿易摩擦」の直接的な影響を受けるとは思えないものの、売られてしまったセクターは割安感が際立つ格好となり、出直りも早いのではと考えられます。

 筆頭は金融株、なかでも「銀行株」がその対象となるでしょう。実際、銀行株には出直りの動きを示す銘柄が多くなっています。これは、すでに上の想定に沿って動いているということかもしれません。

 

 メガバンク株、地銀株など銀行株に絞って今月の「10万円株」をピックアップします。銀行株は、業績や材料よりもマクロ環境(とくに金利動向)やバリュエーション(その時点での割安度合い)が売買のポイントとなります。