先週は円安一服と米欧通商摩擦の懸念後退で、週始めの大きな下げを埋める

先週の結果

 23日(月)は、トランプ大統領のドル高けん制発言を受けて、円高・ドル安が進行。日経平均株価は▲271円の2万2,480円で寄り付き、後場には▲356円の2万2,341円まで下げ、▲300円の2万2,396円で引けました。

 ファーストリテイリングやTDKなどの値ガサ株が大きく売られ、一方では日銀の「長期金利の誘導目標の柔軟性を検討する」という報道を受けて長期金利が上昇したことで、銀行・保険株が上昇。
 24日(火)は、円高一服で+158円の2万2,555円と買い優勢で開始。ここから伸び悩み、+19円の2万2,416円まで上げ幅を縮小するも、上海株式の上昇をきっかけに持ち直し、+113円の2万2,510円と4日ぶりの反発となりました。

 25日(水)は、前日の米国市場で好調な4-6月期の決算を受け、NYダウが+197ドルの2万5,241ドルと大幅高となったことを好感。+83円の2万2,594円で寄り付き、一時+135円の2万2,645円まで上昇しました。買い一巡後は伸び悩むものの、高値圏でのもみあいが続き、+103円の2万2,614円で引けました。

 26日(木)は、前日の米国市場では、3指標そろって上昇したものの、為替は一時110円台半ばの円高へ。+97円の2万2,711円で寄り付いたあとは下げ幅を拡大し、日経平均は▲27円の2万2,586円で引けました。しかし、日経新聞の報道で「日銀が、ETF(上場投資信託)の買いに関して、価格形成に過度な影響を与えるため、日経平均型の買いを減らしTOPIX型の買いを増やすことを検討している」と伝わるとTOPIXは買われ、+12の1766ポイントとなりました。

 27日(金)は、25日のトランプ大統領とEU・ユンケル欧州委員長の首脳会談で、自動車以外の工業品の関税撤廃を目指す貿易交渉の開始で合意したことで、NYダウも+112ドルの2万5,527ドルと3日連続で大幅続伸。日経平均は+59円の2万2,646円で寄り付き、一時+103円の2万2,689円まで上昇。その後、+6円の2万2,596円まで下げましたが、円の弱含みを支えに持ち直し、+125円の2万2,712円の高値引けとなりました。

 27日(金)の米国市場は、4-6月期のGDP(国内総生産)速報値が前期比+4.6%と強い結果となったものの、一方でツイッター、インテルの決算発表を嫌気して急落し、IT株が軒並み安となったことで、NYダウは4日ぶりの反落で3指標そろってマイナスとなりました。シカゴの日経先物は▲65円の22615円でした。

今週は日米の金融政策を受けての株式の動きが想定される

 今週は、日米ともに重要な金融政策イベントに左右される展開となりそうです。日本は、日銀の異次元緩和の修正が行われるのか、米国は、8月1日のFOMC(連邦公開市場委員会)で利上げについてどのようなコメントがあるのかがポイントとなります。

 先週は、「7月30~31日の日銀金融政策決定会合で、日銀が異次元緩和の修正を検討する」との報道で長期金利が上昇し、銀行株が上昇。金融政策決定会合でどのようなコメントがでるのかが焦点となります。

 何も出なければ長期金利は反落し、銀行株も下落することになりますが、出口戦略をにおわすようなコメントであれば、長期金利は上昇し、円が買われることになるため、株価にとってはマイナスとなります。ただし8月相場は、過去の経験からは堅調であり、海外投資家も2週連続の買い越しとなっていますので需給は良好。目先は、よほどの円高にならない限り下値は限定的であり、日銀のETFの購入比率でTOPIX型を増やす検討をしていることから、TOPIXはしっかりした動きが想定されます。

 米国では、貿易摩擦の不透明さがある中で、4-6月期のGDPが良好な内容だったことで、経済の堅調さが確認されており、次の利上げは、経済指標や7月の雇用統計の結果をみて判断されることになります。基本はドル買い要因ですので、日本にとってはプラスですが、利上げ要因は米国株にとってはマイナス要因となります。 今週は日経平均の上値は重いものの、2万2,500円水準をはさんだもみあいが想定されます。

 7月29日は、先週末の米国株安(特にハイテク関連銘柄)を受けて、ハイテク株中心の売り先行となり、一時▲193円の2万2,518円まで下落しました。その後、円相場が弱含んだことで下げ渋りましたが、戻り弱く、後場は2万2,500円水準でのもみあいに終始し、▲167円の2万2,544円で大引けとなりました。

(指標)日経平均

 今週は、先週末のNYダウのIT株の下落を受けて、▲99円の2万2,613円で寄り付き、後場も安値圏で推移。大引けは▲167円の2万2,544円と安値引けとなりました。

 また中国では7月のPMI(購買担当者景気指数)が発表され、ユーロ圏ではフランスの7月の消費者物価、スペインとイタリアの4-6月のGDPと、多くの経済指標発表がありました。
米国では160億ドル(約1兆7800億円)相当の中国製品に対する関税措置発動の検討期間が終了。週末には米国の7月雇用統計もあり、結果によって上下動となりそうです。

 

(指標)NYダウ

 先週の4-6月期GDPは、貿易摩擦懸念の中でも米国経済は堅調なことを示したことで、7月25日の2万5,414ドルで、チャートとしては、ゆるやかな上昇トレンドが上放れした形となっています。

 目先は2月27日の2万5,800ドルを試す動きが想定されますが、好調な経済指標から早期利上げ観測が出てくると、上値は重い展開となります。一方で、自動車、自動車部品の関税導入に関しては他国との交渉や米中交渉は解決していません。

 

(指標)ドル/円

 今週は、トランプ大統領がドル高阻止発言を中立に訂正したことや、FOMCの声明で利上げの継続方針に変わりがなければドルは底堅く、さらに7月の雇用統計が予想を上回れば、ドルが買われることになります。

 一方で、日銀の金融政策決定会合で、もし異次元緩和の出口政策が言及されれば、円が買われることになります。1ドル=110~113円のレンジの中で、ドルのしっかりした動きが想定されます。