6月の製造業PMIが予想下押し、米中摩擦激化で製造業況減速の兆し

 中国の国家統計局が発表した6月の製造業PMI(購買担当者景気指数)は51.5と、5月の51.9から下向きに推移し、市場コンセンサス予想を下押しした。PMIのサブインデックスを見ると、生産指数は5月の54.1から、6月には53.6に低下。新規受注指数も53.8から53.2に後退した(景気判断の分かれ目は50)。

 また、6月にはサブインデックスの一つ、生産経営活動予測指数も、5月の58.7から57.9に下向いた。世界的な金融政策の“正常化”(量的緩和からの出口政策)や貿易保護主義の台頭がグローバル経済の足かせとなり、マーケットセンチメントを悪化させているのが現状。基本的には世界経済の回復を背景に輸出好調が期待されるとはいえ、米中貿易摩擦の激化は中期的に中国の輸出にマイナス影響を及ぼす見込み。6月の製造業PMIにおいては、新規輸出受注指数が5月の51.2から49.8に低下し、50未満のレベルに転落した。

 デレバレッジ(過剰債務の是正)政策を背景とする信用収縮傾向を受け、中国の固定資産投資の伸びはすでに減速傾向にあり、国内経済の下振れリスクが高まっている。こうした中、6月にはPMIの輸入指数が前月の50.9から50.0に低下した。内需の鈍化見通しは企業心理にも影響し、企業は増産に消極的になっているもよう。6月には購買量指数が53.0から52.8に低下。原材料在庫指数も49.6から48.8に後退した。

 一方、出荷価格指数は5月の53.2から6月には53.3へ小幅ながらも上向いた。また、主要原材料の購買価格指数も56.7から57.7に上昇。生産者物価指数(PPI)上昇率の短期的な加速傾向を示唆した。ただ、需要の萎縮を受け、原材料価格の上昇ペースが製品出荷価格の上昇率を上回る状況にあり、BOCIは採算性の点から、川上セクターと、川中・川下セクターが明暗を分ける可能性を指摘している。