アンダー1,000万円ステージ:投資以外のマネープランを整理していくことが必要になる
最後のステージは1,000万円超えです。500万円を超え、投資資金が1,000万円を超えることを目指すステージにおいては、投資「以外」にも目をやることが必要になってきます。
まず「投資以外」のひとつめは定期預金等の安全資産のポジションを積み上げていく意識です。投資がやりたくて資産を積み上げていく人は、しばしば現預金を手元に厚く持っていないことがあります。「投資資金は500万円あるが、定期預金は30万円もない」のような感じです。
こういうリスク資産に偏りすぎたポートフォリオは資産が100万円くらいあった時は悪くないのですが、資産を1,000万円くらいに増やしていくときにはややリスク偏重になってきます。そこで、積み立てのペースを定期預金にも振り向けるなどして「定期預金+投資資金」の合計を増やしていくことを考えてみることをオススメします。
この場合、投資の積み立てをゼロにするのはもったいないですが、投資を始めた頃より少し年収も増えているようであれば積立定期のペースを上げるなどして、安全性の高い資産も保有するようにします。
定期預金を上積みすることで、投資資金の増額ペースが遅くなったとしてもかまいません。まずは「合計で1,000万円」を超えることを目指してみるといいでしょう。
また、「投資以外」としてはマネープランをいろいろ考えていく時期に来ていると思います。500万円以下のステージでは取り崩しを戒めましたが、このステージでは、住宅の購入や子育て費用の捻出などのまとまった資金ニーズが出てくる頃合いだと思います。
それぞれの家庭環境に応じて必要な資金がある場合は「借金よりは投資資金の部分的解約」も選択肢としてありうると考えてみてください。住宅ローンでも年1%前後、通常のローンなら3~10%くらいはかかるでしょうが、確実に生じる利息ほど資産形成の邪魔はありません。
解約により投資資金は減少してしまい、1,000万円超えは遠ざかってしまいます。しかし100万円の教育ローンを組むくらいなら、100万円の投資資金の解約を決断することをいとわないほうがいいはずです。また再チャレンジをしていけばいいのです。
また、最終的なゴールである「定年退職時」にいくらくらいまで資産形成できるか自分なりのシナリオを考えていくこともこのステージの課題となるでしょう。
投資資産1,000万円を超えた人は自分のスタイルでこれからも続けていこう
さて、残高別投資コースの紹介はこれでおしまいです。えっ? 1,000万円以上の投資資金を持っている人へのアドバイスがないじゃないかって?
1,000万円まで投資資金を成長させることができた人には、アドバイスはありません。今までの経験を肥やしに、これからも自分のスタイルで投資を続けていけばよいと思います。
個別株大好きな人はそのスタイルを貫いていけばいいでしょうし、投信やETFをコアにしつつNISAやiDeCoを活用している人はそのスタイルを続けていけばいいでしょう。
投資はいろんなスタイルがあっていいので、ここまで資産形成をした人にお節介は言わないことにします。
あえてアドバイスをするなら「解約は引き続き控えめに」「追加入金はできるだけ継続する」「リスク偏重は少しずつ卒業を」の3点でしょうか。
特にリスクの取り過ぎについては配慮をしたほうがいいと思います。ここまで来た資金を全額信用取引に回して数銘柄を集中投資するようなことは卒業してはどうでしょうか。短期売買を指向する資金と、中長期投資を行う資金を組み合わせていく意識も持っていきたいところです。
無理に「億り人(おくりびと)」を目指す必要はありません。定年退職時に投資資金が1,000~3,000万円(そして定期預金が同額程度)あれば、あなたは老後の経済的不安をほとんど抱えず暮らしていけるのですから。