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資産残高別に考える「3つの投資コース」…100万、500万、1,000万円
山崎 俊輔
なんとなくから卒業!実践・資産形成術
誰にとっても重要で大切な「年金」と「老後資金準備」について、「漠然とした不安」から卒業しよう! これからの人生のマネープランを、主体的にかつ前向きに組み立てるためのヒントを、ファ…

資産残高別に考える「3つの投資コース」…100万、500万、1,000万円

2018/7/3
・資産残高ごとに投資スタイルを考えてみよう
・アンダー100万円ステージ:まずはここを乗り越える 運用益より「追加拠出」を大切に
・アンダー500万円ステージ:「解約」の誘惑との戦い
・アンダー1,000万円ステージ:投資以外のマネープランを整理していくことが必要になる
・投資資産1,000万円を超えた人は自分のスタイルでこれからも続けていこう
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資産残高ごとに投資スタイルを考えてみよう

 今回は「資産残高」と投資スタイルというテーマを取り上げてみます。投資に供する資産の残高によって投資のスタイルは若干の変化が生じます。

 例えば資産50万円の人が100万円に増やそうとするのと、資産3,000万円の人が3,100万円に増やそうとするのは、スタイルが異なるのは当然です。しかし、あまり自覚してない人のほうが多いと思います。

 特に、資産がまだ少ないときの投資スタイルはどうするべきか、あるいは少しずつ資産を増やしていくに従ってどう投資のやり方を変えていくべきか、というテーマを考えてみたいと思います。そしてそれは投資家としてのステップアップとも連動しています。
 

アンダー100万円ステージ:まずはここを乗り越える 運用益より「追加拠出」を大切に

 最初のステージはおおむね「100万円を超えるまで」とします。初期資金として100万円を入金する人もいますが、今増えているのは、「初期資金ゼロからの積立投資スタート」という人です。

 つみたてNISAやiDeCo(イデコ)で「ゼロ円」からの資産形成をスタートさせたとき、多くの人は、投資に対する経験や知識がほぼ白紙状態で投資の世界と向き合うことになります。

 まずは少額からの積み立てを通じて投資経験を得ることにポイントを置きたいものです。この時期はむしろ運用の含み損を抱えることも経験になるので、いろんな商品に手を出したり、売買を何度かやってみるのもいいでしょう。

 ただしつみたてNISAで売却することはNISA口座から資産が手元に戻ることを意味しますし(税制優遇の終了)、iDeCoでの損失確定はiDeCo内での再投資チャレンジによってしか取り戻せないので、ひんぱんな売買を無理に行う必要はありません。特に安易な損失確定は避け、市場の回復を待つことがベターな選択肢です。

 また、このステージでは運用益よりも定期的な追加拠出のほうが資産総額を増やすエンジンとなります。10万円の残高を1カ月で11万円にする運用はなかなか困難ですが、1万円の拠出を1年続ければ元本は確実に12万円増加し、資産額は倍増します。まずは追加拠出を続けるようにしてください(特に株価が下がっている時期にも追加をすることが効果的)。

 このステージを突破するのに、数年かかることはおかしなことではありません。むしろこの時期の投資経験を大事にしてください。それはその後の何十年にも及ぶ投資経験の基礎となるはずです。

アンダー500万円ステージ:「解約」の誘惑との戦い

 100万円の残高を突破した人の、次の突破目標を500万円に設定してみます。実はここを早い時期に超えられるかどうかが、資産形成のケタをひとつ上げるためのポイントです。

 初めて自分の投資資金が100万円を超えると、運用方針についてはある程度整理しておく必要がでてきます。個別銘柄に夢中になる投資家となるスタイルもありますし、投資信託やETF(上場投資信託)をベースとしつつ個別株をいくつか保有するようなポートフォリオを少しずつ形作っていくスタイルもあります。

 仕事やプライベートに支障を及ぼさずに投資を続けたいのであれば、後者のほうをオススメします。つみたてNISAやiDeCoは制度の特性から投資信託ベースの資産形成になります。これに証券総合口座での個別株保有を加えていくことになるでしょう(あるいはNISAとiDeCoの組み合わせとしてNISA口座で個別株を保有する)。

 ところで、このステージの課題はもうひとつあります。それは解約の誘惑です。資産形成において「追加拠出」が鍵であることは~100万円コースと同様なのですが、このステージでの次の鍵は「解約しない」「継続する」ということです。

 数百万円があり、その一定割合は運用益によって獲得できたという気持ちがあると、どうしても「何かあったら使っていいお金」と考えてしまいます。

 車を買おうとか、いい部屋に引っ越しをしようとか、まとまった資金ニーズを無理矢理見つけてそのために解約をする誘惑にかられるようになります。

 細々と数万円くらいずつおろしてしまうのも要注意です。「今日は増えているみたいだから少し売って、子どもを連れて寿司に行こう」といったことに資産形成上の資産を取り崩していると資産はなかなか増えなくなります。

 解約の誘惑と戦うのは、投資でリスクをコントロールするのと同じくらい自分をコントロールする課題です。追加拠出を続けていくことはもちろん、運用益を取り崩すこともできるだけ避けるようにしてください。「そこにお金はある」が「解約はせず資金ニーズは目の前のやりくりで切り抜ける」というのが、実はアンダー500万円のステージのコツなのかもしれません。

アンダー1,000万円ステージ:投資以外のマネープランを整理していくことが必要になる

 最後のステージは1,000万円超えです。500万円を超え、投資資金が1,000万円を超えることを目指すステージにおいては、投資「以外」にも目をやることが必要になってきます。

 まず「投資以外」のひとつめは定期預金等の安全資産のポジションを積み上げていく意識です。投資がやりたくて資産を積み上げていく人は、しばしば現預金を手元に厚く持っていないことがあります。「投資資金は500万円あるが、定期預金は30万円もない」のような感じです。

 こういうリスク資産に偏りすぎたポートフォリオは資産が100万円くらいあった時は悪くないのですが、資産を1,000万円くらいに増やしていくときにはややリスク偏重になってきます。そこで、積み立てのペースを定期預金にも振り向けるなどして「定期預金+投資資金」の合計を増やしていくことを考えてみることをオススメします。

 この場合、投資の積み立てをゼロにするのはもったいないですが、投資を始めた頃より少し年収も増えているようであれば積立定期のペースを上げるなどして、安全性の高い資産も保有するようにします。

 定期預金を上積みすることで、投資資金の増額ペースが遅くなったとしてもかまいません。まずは「合計で1,000万円」を超えることを目指してみるといいでしょう。

 また、「投資以外」としてはマネープランをいろいろ考えていく時期に来ていると思います。500万円以下のステージでは取り崩しを戒めましたが、このステージでは、住宅の購入や子育て費用の捻出などのまとまった資金ニーズが出てくる頃合いだと思います。

 それぞれの家庭環境に応じて必要な資金がある場合は「借金よりは投資資金の部分的解約」も選択肢としてありうると考えてみてください。住宅ローンでも年1%前後、通常のローンなら3~10%くらいはかかるでしょうが、確実に生じる利息ほど資産形成の邪魔はありません。

 解約により投資資金は減少してしまい、1,000万円超えは遠ざかってしまいます。しかし100万円の教育ローンを組むくらいなら、100万円の投資資金の解約を決断することをいとわないほうがいいはずです。また再チャレンジをしていけばいいのです。

 また、最終的なゴールである「定年退職時」にいくらくらいまで資産形成できるか自分なりのシナリオを考えていくこともこのステージの課題となるでしょう。


投資資産1,000万円を超えた人は自分のスタイルでこれからも続けていこう

 さて、残高別投資コースの紹介はこれでおしまいです。えっ? 1,000万円以上の投資資金を持っている人へのアドバイスがないじゃないかって?

 1,000万円まで投資資金を成長させることができた人には、アドバイスはありません。今までの経験を肥やしに、これからも自分のスタイルで投資を続けていけばよいと思います。

 個別株大好きな人はそのスタイルを貫いていけばいいでしょうし、投信やETFをコアにしつつNISAやiDeCoを活用している人はそのスタイルを続けていけばいいでしょう。

 投資はいろんなスタイルがあっていいので、ここまで資産形成をした人にお節介は言わないことにします。

 あえてアドバイスをするなら「解約は引き続き控えめに」「追加入金はできるだけ継続する」「リスク偏重は少しずつ卒業を」の3点でしょうか。

 特にリスクの取り過ぎについては配慮をしたほうがいいと思います。ここまで来た資金を全額信用取引に回して数銘柄を集中投資するようなことは卒業してはどうでしょうか。短期売買を指向する資金と、中長期投資を行う資金を組み合わせていく意識も持っていきたいところです。

 無理に「億り人(おくりびと)」を目指す必要はありません。定年退職時に投資資金が1,000~3,000万円(そして定期預金が同額程度)あれば、あなたは老後の経済的不安をほとんど抱えず暮らしていけるのですから。


 

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