「再生エネルギー補助金目録」発表も財源不足を懸念、新たな政策措置に期待
中国財政部は6月15日、第7弾となる再生可能エネルギーの補助金目録を発表した。市場はその発表のタイミングを探っていたが、ここに来て実現した形。目録自体にサプライズはほとんどなく、2015年3月~16年3月に商業運転を開始した再生可能エネルギー・プロジェクトの大半をカバーする内容だった。これにより、補助金支給が近く始まり、電力会社のキャッシュフローが改善する見込み。ただ、BOCIは財源不足を理由に、補助金制度がこの先長期的に持続可能かという市場の疑念が残ると指摘。関連銘柄の株価がただちに上昇に転じるか懐疑的な見方を示している。また、今後は財源不足に対処するための政策的な動きが、再生エネルギー・セクターの支援材料になるとの見方。セクター全体に対する強気見通しを継続し、風力発電の華能新能源(00958)、廃棄物発電の中国光大国際(00257)をトップピック銘柄としている。
第7弾の補助金目録がカバーするプロジェクトは総容量55.8GW規模と、これまでで最大。内訳は風力発電、太陽光発電、バイオマス発電(廃棄物発電を含む)がそれぞれ33.9GW、20.5GW、1.5GWとなる。地域別では新疆ウイグル自治区が10.5GWと最大で、以下、内モンゴル自治区が5.6GW、雲南省が4.0GWと続いた。
第7弾目録がカバーする容量を銘柄別に見ると、風力発電では華能新能源、龍源電力(00916)が各2.7GWで、大唐新能源(01798)が1.3GW。廃棄物発電では中国光大国際、緑色動力環保(01330)、粤豊環保電力(01381)がそれぞれ184MW、12MW、30MW。うち緑色動力環保については貴州省安順でのプロジェクトが対象となるが、同社は「財務部の目録入り」を補助金計上の前提としており、これで18年6月中間期に一過性の補助金収入を計上する見通しとなった。
財務部はまた今回、補助金制度に関して以下の2つの改訂を行った。【1】石炭を燃料とするバイオマス・プロジェクトを補助金目録から除外。中央政府は手を引き、地方政府が独自に対応する。【2】送電網との接続プロジェクトに関しては「再生エネルギー基金」(REF)からの補助金拠出を取りやめ、送電会社が支払うものとする。BOCIはこのうち【1】について、ストーカ式焼却技術を採用する企業に有利との見方。カバー銘柄3社はいずれもこの技術を持つとした。また、【2】の改訂により、REFの赤字が18年に60億元ほど縮小する見通しを示している。
待望の第7弾目録が発表され、各社のキャッシュフロー改善が見込めるとはいえ、REFの債務問題は深刻で、市場では補助金制度の先行きに対して不安感が続く見込み。こうした中、BOCIはセクター全体の支援材料として財源不足の緩和に向けた政策的な動きを挙げ、一例として「REFが徴収している再生エネルギー・サーチャージ(追加料金:現時点では1kWh当たり0.019元)の引き上げ」が発表される可能性に言及している。