宅配便取扱数が5月も25%増、業界集約化の進行は大手に有利
中国の国家郵政局が発表した国内宅配市場に関する最新統計によると、5月には荷物取扱量が増える半面、平均料金はほぼ横ばいで推移した。また、中国の宅配業界では集約化が進行しており、コストやサービスの質に優れた大手の優位が鮮明となりつつある。中通快逓(ZTOエクスプレス)などの大手各社は、オフラインとオンラインを融合させた新たな小売形態、いわゆる“新小売り”ビジネスの台頭に備え、ファーストマイル(店舗・倉庫から最初の物流拠点まで)、ラストワンマイル(最終拠点からエンドユーザーまで)、倉庫などへの投資に動き出している。BOCIは国内の宅配市場やロジスティクス・ビジネスの拡大余地は依然大きいとの見方。ロジスティクス・セクター全体に対して強気見通しを維持し、中通快逓と深セン国際集団(00152)をトップピック銘柄とした。
中国の5月の宅配便の取扱個数は前年同月比25.1%増の42億個で、1日当たりでは1億4,000万個。また宅配収入は同22.2%増の498億元だった。1~5月では、取扱個数が前年同期比28%増の179億個で、市内、市外向けがそれぞれ同27%増の41億個、同28%増の133億個。宅配収入は同27%増の2,236億元に達した。宅配便数の上位5都市には広州、上海、深セン、金華、杭州が並んだ。国家郵政局は続く6月の取扱個数について43億個との予測を明らかにしているが、この数字は前年同月比で26.5%増。6月18日にネット通販の値下げイベントが行われることが、宅配需要の一段の伸びに寄与する見通しという。一方、平均宅配料金は4月に前年同月を0.5%上回ったが、5月には同2.3%の下落となった。
国内業界では集約化が進行しており、上位8社の合計シェア(取扱個数ベース)は1~5月に推定81.5%と、1~4月比で0.4ポイント上昇した。
また、5月の「宅配サービス・クオリティー指数「(クレーム率や顧客満足度、指定時間配達率など反映させた指標)は229ポイントで、前年同月比で58.4%大きく上向いた。100万個当たりのクレーム数を反映する「有効クレーム率」は2%以下と、5年ぶりの低水準。72時間以内に指定時間通り配達できたかを示す指数は76.5%と、同3ポイント上向いた。BOCIはこうした指標の改善を受け、中国の宅配市場が質・価格バランス型の成長局面を迎えたとの見方。この先の高質サービス需要の拡大を見込む。
個別銘柄では、BOCIは中通快逓と深セン国際集団の株価の先行きに対して強気見通しを示している。うち深セン国際集団に関しては有料道路、物流の両事業だけでなく、深セン前海地区の開発に伴う土地再区分のプロセスが予想通り進んでいることを前向きに評価。一方、国内最大手である中通快逓に関しては、今後も市場シェアの拡大や営業効率の改善が続くと予想。19年予想PER21.2倍をあてはめ、目標株価を設定している。