6月前半のビットコイン/日本円(BTC/JPY)マーケット概況

 6月前半のビットコイン/日本円相場は急落しました。6月上旬からドル建て価格が軟調であったところに、韓国の仮想通貨取引所ハッキング事件、米テキサス大によるビットコインの価格操作に関する研究論文などの悪材料が加わり、下落スピードがアップしました。

 それでは、具体的に6月初頭からの流れを振り返ってみましょう。6月のスタートは、5月下旬からのトレンドを引き続き、下値は限定的で上値も20日移動平均線が位置する85万円台で頭を抑えられる狭いレンジでの値動きで推移していました。6月2日~3日の週末にかけていったんはレンジを切り上げる動きも見られていました。
しかし、この上昇をけん引していたドル建て価格が軟調となったことで、マーケットは一変して下落基調に。

 ドル建て価格が軟調となった要因としては、ビットコインと同様にコンセンサス・アルゴリズムがPoW型である仮想通貨ゼンキャッシュ (ZEN)が51%攻撃というサイバー攻撃の対象となり 23,152ZEN(70万ドル相当)が奪われたことが6月3日に明らかとなったこと、また6月5日に米ドル建てビットコイン取引量が市場最大である香港の大手仮想通貨取引所ビットフィネックスがサイバー攻撃を受けて一時取引中止となるといったニュースが材料視された可能性があります。

 さらに、6月10日には韓国の取引所コインレイルがハッキングを受けて一部の仮想通貨が盗まれたと報道されてからビットコイン価格は急落。4月12日ぶりに一時73万円台の安値をつけました(フィスコ仮想通貨取引所BTC/JPYチャートより)。

 また6月13日には、米国のテキサス大学オースティン校が発表した学術研究論文で、昨年12月のビットコイン価格の急伸は価格操作によるものだという見解を発表したことがさらなる売り材料に。こうした材料を背景に、ビットコイン価格は6月14日、2月以降4か月ぶりに70万円の安値を付けました(BTC/JPY価格は同上)。海外発のネガティブ材料から、ドル建て価格が大きく弱含み、これに円建て価格も追随した格好です。

 もうしばらくは、ドル建ての動向を注視することになりそうですが、日本においては米仮想通貨大手コインベースの日本進出や日本の金融大手が仮想通貨の現物取引サービスを6月4日から開始するなどポジティブなニュースも出ています。

 大手企業による日本の仮想通貨市場進出の動きが活発となるなか、今後はどこまでマーケットのボリュームが増えていくかが注目したいところです。

 価格水準については、現状はネガティブなニュースがマーケットの重しとなっていますが、ビットコインについては、72万円前後、もう一段下では66万円前後が下値メドとして機能しそうです。

■ビットコインの日足チャート

フィスコ作成

 

BTC/JPYとの相関係数(5月31日~6月13日)

  • ドル/円        ▲0.57
  • 日経平均        ▲0.53
  • 金/ドル        ▲0.42
  • 米10年債        ▲0.40
  • NYダウ        ▲0.36

※フィスコ仮想通貨取引所のBTC/JPYの終値ベース
※1~0.7は強い相関あり、0.7~0. 4はやや相関あり、0.4~0.2は弱い相関あり