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中国ではこの5年ほどの間で、現⾦を使わない『モバイル決済』が主流となり、キャッシュレス化が急速に進みました。『モバイル決済』は、スマートフォンなどを利用した電⼦決済サービスで、現⾦を持つことなく、国内の実店舗などでの⽀払いや交通機関の利用が可能となる、⾮常に便利な⽀払⽅法です。中国では、『モバイル決済』が今や⽇常⽣活を送る上で欠かせない社会インフラになっています。
【ポイント1】中国では一気に『モバイル決済』が普及
個⼈向け銀⾏サービスが⼗分に発達していなかったことが背景
中国では、銀⾏⼝座を持っているものの、銀⾏による各種サービス提供は限られたものであり、⼩売店での銀⾏カード決済は広がりませんでした。⼀⽅で、偽札などの現⾦決済リスクが残る中、“QRコード”を利⽤した『モバイル決済』は販売側においても決済⼿数料や導⼊コストが安いうえに⼊⾦が早いというメリットが⼤きいため、露店や⾃動販売機へも爆発的に広がりました。その結果、中国の『モバイル決済』は、段階的な発展過程を経ずに、一気に普及する現象が起きました。
【ポイント2】市場規模は急拡大
実店舗での利用人数は5億人超
調査会社“iResearch”によると、中国での『モバイル決済』は、商品購⼊に加え、個⼈間の送⾦や投資商品、保険商品購⼊などの取引にも使われ、その取引総額は2017年1-9⽉で、81.4兆元(約1,382兆円)となりました。2016年通年の58.8兆元(約998兆円)から比べても市場規模が急拡大しています。この81.4兆元のうち、商品購⼊のための『モバイル決済』額は8.4兆元(約143兆円)となっています。
2017年の実店舗の『モバイル決済』利⽤⼈数は5.1億⼈と、2016年⽐+37%の増加となりました。これは中国の⽣産年齢⼈⼝(16才〜59才)の約9億⼈の半分以上にあたります。
【今後の展開】中国の『モバイル決済』は様々なサービスで広がり、拡大が続く
中国では、『モバイル決済』が広く普及したことで新しい商業サービスが⽣まれています。例えば、出前サービス、ライドシェアリングやバイクシェアリングなどがあります。その他にも、実店舗とインターネットを連携したサービスは、その場で注⽂し、代⾦を⽀払える便利さもあって短期間で拡⼤しています。
今後も中間所得層の増加やスマートフォンの普及に伴い、より良い暮らしや利便性へのニーズが高まり、様々なサービスが発展するとみられる中、中国の『モバイル決済』市場は拡大が続くとみられます。