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 日本政府の積極的な推進もあり、近年外国人旅行者は大きく増加しています。2017年は年間2,869万人でしたが、今年は初めて3,000万人を突破すると期待されており、今後もさらに増加すると見込まれています。外国人旅行者の宿泊増加に伴い、人気が高まる民泊(住宅を活用して旅行者に宿泊サービスを提供)でトラブルを回避すべく、『住宅宿泊事業法』が本日施行されました。届け出は順調に進んでいるのでしょうか?

 

【ポイント1】外国人宿泊者数の増加に伴い、民泊サービスが急速に普及

一方で、無許可の違法民泊や、地域住民などとのトラブルなども発生

 観光庁が発表した2018年4月の外国人延べ宿泊者数は約801万人泊(従業者数10人以上の施設、第1次速報値)と、調査開始の2007年の同時期と比較すると約4倍にまで増加しています。こうした外国人による宿泊需要の増加に伴い、民泊サービスが日本でも急速に普及しています。

 一方で、民泊サービスの拡大において、公衆衛生の確保や地域住民などとのトラブル、無許可で営業する違法民泊などへの対応の必要性が指摘されるようになりました。

 

【ポイント2】『住宅宿泊事業法』が本日施行

届け出は低調、施設側のキャンセルなど問題相次ぐ

 本日から施行される『住宅宿泊事業法』では、民泊サービスを始めるにあたり、都道府県知事への届出や、衛生確保やトラブルへの対応など、住宅宿泊事業の適正な遂行のための措置を講じることが義務付けられました。

 同法の施行に先立って行われた事前受付では、6月8日時点で約3,000件の届け出が報告されています。届け出の条件を満たすハードルは高いようです。手続きの煩雑さなどもあり、これまで民泊仲介サイトなどに掲載されてきた物件数に比べて実際の届け出は低調で、同法施行を前に届け出が間に合わず、施設側が予約をキャンセルするなどの問題も相次いでいます。

 

【今後の展開】外国人観光客を惹きつける民泊が広がることが期待される

 政府は、窓口に相当数の相談があることから、今後も届け出は増えていくと見ています。民泊は、外国人観光客がホテルなどの宿泊施設では体験できない、日本の暮らしなどを経験できることなども、人気の一因となっています。『住宅宿泊事業法』の施行により、これまで報告されてきた民泊サービスに伴うトラブルが解消され、外国人観光客を日本に惹きつける民泊サービスの魅力も高まり、民泊はより一層広がっていくと期待されます。