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米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は6月12日に、シンガポールで両国にとって史上初の首脳会談を行いました。会談では、「朝鮮半島の非核化および恒久的で持続的な平和維持メカニズムの構築」をテーマに議論が交わされ、両首脳は12日午後、会談の成果をまとめた合意文書に署名しました。今後は、非核化実現に向けての交渉が行われる見通しです。
【ポイント1】朝鮮半島の非核化等を内容とする合意文書に署名
平和と繁栄の実現のため、米国と北朝鮮は新たな関係を構築へ
トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長は、6月12日の午後、『米朝首脳会談』の成果をまとめた合意文書に署名しました。
合意文書の骨子は、(1) 米国と北朝鮮の国民による平和と繁栄への願いに従い、両国は新たな関係の構築に責任を持って取り組む、(2)米国と北朝鮮は朝鮮半島に永続的かつ安定した平和体制を構築するために力を合わせる、(3)2018年4月27日の板門店宣言を再確認し、北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に向けて努力することを確約する、(4)米国と北朝鮮は戦争捕虜と行方不明米兵の遺骨収集に責任を持って取り組む、です。
【ポイント2】非核化の時期等は今後に持ち越し
フォローアップの交渉を継続する見通し
ただし、今回の『米朝首脳会談』の合意文書には、北朝鮮の非核化について、そのタイムテーブルといった具体的な内容は示されていません。
これらは、今後、ポンぺオ米国務長官と北朝鮮当局者との間で行われる、フォローアップの交渉に委ねられるもようです。
そのほか、朝鮮戦争の終結や拉致問題についての言及は、合意文書には見られませんでした。
【今後の展開】会議の成果は、非核化に向けた今後の協議の土台ができたこと
今後、完全な非核化を進めるに当たり、米国は、核放棄のスケジュールの明示、国際原子力機関(IAEA)による査察・検証の受け入れ、核弾頭の解体と搬出の承諾を、北朝鮮に求めると見られます。これらが前進するようであれば、朝鮮半島を巡る地政学リスクは次第に後退すると考えられます。
6月12日の欧米株式市場は、比較的落ち着いた動きとなりました。少なくとも、『米朝首脳会談』は、リスク回避の動きを強めるようなものではなかったと考えられます。まずは、非核化に向けた今後の協議の土台ができたという点で、米国と北朝鮮の双方に、一定の成果があったと言えそうです。