<今日のキーワード>

 インドの2018年1-3月期の実質国内総生産(GDP)成長率は前年同期比+7.7%と、約2年ぶりの高い伸びとなりました。中国の1-3月期の実質GDP(同+6.8%)を上回り、主要国の中で最も高い経済成長となりました。昨年7月に物品サービス税(GST)が導入され、その前後で在庫調整の動きが出て景気は一時的に下振れしたものの、回復局面に戻り、今後も高い成長を続けるとみられます。

 

【ポイント1】1-3月期GDPは前年同期比+7.7%成長

消費や投資が成長をけん引

 インド統計局が5月31日に発表した、2018年1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比+7.7%と、市場予想(ブルームバーグ集計、同+7.4%)を上回り、2017年10-12月期の同+7.0%から加速しました。1-3月期の『インドの実質GDP』は約2年ぶりの高い伸びとなり、中国の1-3月期の実質GDP(同+6.8%)を上回り、主要国の中で最も高い経済成長となりました。

 需要面の内訳をみると、内需(消費、投資)が成長をけん引しました。GDPの5割超を占める民間消費が同+6.7%と前期(同+5.9%)から加速したほか、設備投資やインフラ投資などの固定資本形成が同+14.4%と前期(同+9.1%)から大きく伸びました。

 

【ポイント2】2017年度は+6.7%成長

GST導入による一時的影響

 同時に発表された、2017年度(17年4月〜18年3月)の『インドの実質GDP』成長率は前年度比+6.7%でした。16年度の成長率の同+7.1%から減速し、4年ぶりの低水準となりました。この背景は、昨年7月に物品サービス税(GST)が導入され、その前後で在庫調整の動きが出て景気が一時的に下振れしたことによるものと考えられます。

 

【今後の展開】消費や投資主導の経済成長が続く

 インド気象庁は5月30日、モンスーン(雨季)の降雨量の2次予測を「平年並み」と発表しました。平年並みの降雨量であれば、農作物の安定供給で食料品インフレは低位安定する見込みで、民間消費を下支えすると考えられます。賃金の上昇に伴い民間消費は堅調に推移するとみられることに加えて、投資も回復局面に入っているため、今後もインド経済は成長を続けると予想されます。

 ただし、インド経済の成長が加速するなか、最近の原油高や通貨安の影響を受けたインフレ圧力の高まりが成長の足かせとして懸念されます。モンスーンの降雨量が平年並みと予想され、食品価格の上振れは見込まれないものの、インド準備銀行はインフレを警戒し、金融引き締めに転じると思われます。