4G純増数の大幅減も楽観見通し、加入者数より「データ通信量」が焦点に
中国の3大通信キャリアが発表した最新業務統計を見ると、携帯電話加入数は4月に前月比31%の純減、前年同月比で39%純増の976万2,000件だった。4Gに限ると、前月比で69%、前年同月比では51%の純減となる749万5,000件。2016年1月に4Gサービスが始まって以来、月別で最も低い数字となった。ただ、BOCIは穏やかな市況を示唆する数字として、携帯全体、4Gという2つの指標の減速を前向きに評価し、キャリア各社の利益率の改善を見込んでいる。一方、3G、4Gを含むモバイルブロードバンド・ユーザーの1人当たり平均データ通信量(DOU)は4月も急増ペースを維持し、改めてデータサービスの長期成長期待が高まった。BOCIはセクター全体に対して強気のレーティングを付与し、3大キャリアの中では、チャイナ・ユニコム(00762)、チャイナ・テレコム(00728)、チャイナ・モバイル(00941)の順で選好。この3社の株価の先行きに対し、いずれも強気見通しを示している。
4月には4G純増数が大きく落ち込む半面、2G/3Gの流出状況が16年1月以来初めて反転し、230万件の純増を記録した。BOCIはその理由として以下の点を指摘している。◇2G/3G利用者による4Gへの乗り換えが失速したのはキャリア各社がマーケティングやプロモーションにおいて冷静な姿勢に転じ、市場環境が穏やかだったため。こうした状況はただちにEBITDAマージンの改善につながる可能性が高い、◇4G加入総数は4月に10億7,000万件に達しており、4G浸透率は78%。通信業界の成長エンジンは、これまでの「加入者数の伸び」から「データ通信量の伸び」に移行しつつある、◇2G加入者は4月に2億6,000万件と、過去12カ月で9,000万件縮小した(工業情報化部調べ)。キャリア各社が900Mhz、1,800Mhz、1,900Mhzの周波数帯を2Gから4Gに振り替える中、2G加入者の大部分が向こう2年以内に3Gか4Gに乗り換える見込み。ただ現状、2Gは低価格が魅力。シェア自転車といった工業・自動化アプリケーションに多く採用されており、2G GSMモジュールの利用者基盤は大きい。
一方、国内全体のデータ通信量は4月に前年同月比194%増と、3月の200%増からやや減速しながらも急増ペースを維持した。モバイルブロードバンド利用者の1人当たりデータ通信量は142%増の3.7GB。主にコンテンツやスマートフォンのアップグレードが寄与した。BOCIは1人当たりデータ通信量の拡大傾向が今後も続くと予想。その理由として、高解像度カメラ、高精細ディスプレーを持つ高性能スマホへの乗り換えや、モバイルゲーム、ライブストリーミングの普及を挙げている。
キャリア3社が出資する中国鉄塔股フン有限公司(China Tower Corp)は7~9月期にも香港市場に上場する計画であり、これがさらなる支援材料となる見込み。一方、BOCIは通信セクターのリスク要因として、国内データローミング料金の廃止を挙げた。