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『長期金利』とは、満期までの期間が1年以上の金利のことです。米国や日本の場合、『長期金利』の指標として用いられるのは、新発10年国債、つまり国が新規に発行する償還期間10年の国債の利回りです。『長期金利』は、個人向けの住宅ローン金利や、銀行が企業に資金を貸し付ける際の金利に大きな影響を及ぼします。米国の『長期金利』は、世界的な資金の流れに及ぼす影響も大きく、注目されています。
【ポイント1】『長期金利』が3%台乗せ
3%台乗せは、およそ4年5カ月振り
米国の債券市場では、『長期金利』(10年国債利回り)が、2018年4月24日に3.00%をつけました。『長期金利』の3%台乗せは、13年末以来およそ4年5カ月振りのことになります。その後も概ね3%前後の水準で推移しています。
【ポイント2】インフレ期待の高まり等が『長期金利』を押し上げ
新興国市場への影響は限定的
『長期金利』の上昇は、米国の景気・雇用が順調な拡大を続けていること、それに伴い利上げが継続されていること、インフレ期待(消費者や企業が、将来、物価が上昇するだろうと予想すること)が高まってきたこと等によるものです。
『長期金利』の上昇を受けて、新興国市場の一部では動揺が見られます。これは経常収支の赤字幅が大きく、インフレ率が高い一部の国・地域が中心で、新興国全体の通貨や資産が大きく売られる状況ではないと考えられます。
【今後の展開】緩やかな利上げを継続する見通し
米国の『長期金利』は、今後も上昇基調を辿ると予想されます。トランプ政権による減税や財政支出の増額といった拡張的な財政政策に支えられて、米国の景気が拡大を続けると予想されるなか、米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利の引き上げを進める見通しだからです。
ただし、賃金の伸びが抑制されていることもあり、物価が大幅に上昇する可能性は低いと見られます。このため、FRBは緩やかな速度で利上げを実施すると予想され、『長期金利』の上昇も緩慢なものになる見通しです。従って、新興国市場への影響は、引き続き限定的なものにとどまりそうです。