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 2018年5月1日~2日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利の据え置きが決定されました。FOMCの直前に公表されたインフレ指標は上振れましたが、『FOMC議事要旨』によれば、仮にFOMCの目標値である+2%を超えても、一時的なものであれば容認する、との姿勢が示されました。全体的に見て、緩やかな利上げの継続を示唆する内容であったといえるでしょう。

 

【ポイント1】経済見通しの修正はなし

拡張的な財政政策、緩和的な金融環境が米国経済を下支え

 公表された『FOMC議事要旨』によれば、米国経済の見通しに修正はなく、力強く拡大する労働市場や拡張的な財政政策、良好な金融環境、消費者および企業マインドの高まり等が米国経済の拡大を支えると述べました。18年1-3月期における経済成長率の鈍化は、やはり一時的なものと判断されました。

 

【ポイント2】物価の小幅な上振れは容認

物価は、目標値の+2%を中心とする上下対称的な水準で推移する見通し

 インフレについては、前回FOMC声明文の「中期的に目標の+2%近傍で安定する見通し」から、今回の声明文では「中期的に+2%を中心とする上下対称的な水準で推移する見通し」に修正されました。米連邦準備制度理事会(FRB)が重視する個人消費デフレーターのうち食品とエネルギーを除くコア指数が、直近18年3月に前年同月比+1.9%となったことを踏まえたものと見られます。

 今回の議事要旨の「インフレ率が+2%を小幅に超えても、一時的なものであれば、上下に対称的なFOMCの物価目標と整合的であり、長期のインフレ期待(将来のインフレに対する見通し)を、その水準に落ち着かせるのに貢献する」との文言と合わせて考えると、物価上昇率の多少の上振れは容認する姿勢であることを示唆していると考えられます。

 

【今後の展開】緩やかな利上げを継続する見通し

 今回の議事要旨は、ほとんどの参加者が、「今後公表されるデータがFOMCの経済見通しを支持するような内容であれば、近く追加の利上げが正当化される」と判断したことを明らかにしました。最近、公表された経済指標と考え合わせると、6月12日、13日開催予定の次回FOMCで、利上げが実施される可能性は高いと見られます。

 米国の景気・雇用が順調に拡大していることから、利上げは今後も継続されると予想されます。ただし、物価について、議事要旨は「ここ数年の低迷を考慮すると、このままインフレ率が+2%近傍で安定するかは不明」等、慎重な見方も根強いことを示しています。これらから判断すると、利上げのペースは、やはり緩慢なものになると考えられます。