本土からの香港株投資、業界大手や“創新”銘柄が人気、保有高では石薬集団が最大

 BOCIは「サウスバウンド・トレーディング」(港股通)による医療関連銘柄の売買状況を分析し、その結果を以下の通り報告している。サウスバウンドは本土・香港の相互株式取引制度「滬港通」(上海-香港)、「深港通」(深セン-香港)を通じた本土からの香港株売買を指す。

 それによると、5月15日現在、サウスバウンド資金の株式保有高トップ5は、石薬集団(01093)、中国生物製薬(01177)、緑葉製薬(02186)、三生製薬(01530)、上海医薬集団(02607)。当該企業の浮動株全体に占めるサウスバウンド資金の持ち株比率では、金斯瑞生物科技(01548)、緑葉製薬、環球医療(02666)が上位。唯一、緑葉製薬だけが、保有高、持ち株比率という2つの指標でトップ5に入った。

 2018年年初との比較では、大半の医療銘柄においてサウスバウンドの株式保有高が上向いたが、例外は上海復星医薬(02196)、康哲薬業(00867)、中国神威薬業(02877)。また前月比で見た場合、サウスバウンド・トレーディングが売り越しとなったのは、中国神威薬業、康哲薬業、北京同仁堂科技(01666)、中国生物製薬、石四薬集団(02005)だった。

 サウスバウンド・トレーディングでは、国内業界大手や革新的なパイプライン(新薬候補)を持つ製薬会社など、国内政策を追い風とした銘柄の人気が高い。中国政府は製薬業界のイノベーションを奨励し、新薬の審査認可を加速させるなどの支援方針を明らかにしている。

 MSCI中国ヘルスケア指数のフォワードPERは現在、ほぼ5年ぶりの高水準にある。セクター全体の再評価が進む中、BOCIが有望視しているのは、◇利益見通しが明確な銘柄、◇多様性が高く、短期的にパイプラインの収益寄与が見込めるディフェンシブ銘柄。個別では三生製薬、上海復星医薬がこれに該当するとしている。