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 国内総生産(GDP)は、国内で一定期間にどれだけの財やサービスが生み出されたかを示し、経済活動の規模や動向を総合的に示す指標として用いられます。なかでも、物価変動の影響を取り除いた『実質GDP』が注目されます。日本の2018年1-3月期の『実質GDP』は前期比▲0.2%の減少と、9四半期ぶりにマイナスに転じました。個人消費、住宅投資、設備投資など内需が減速し、輸出の伸びも鈍化しました。

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【ポイント1】9四半期ぶりのマイナス成長

個人消費など内需が低迷

 内閣府が16日に発表した、2018年1-3月期の『実質GDP』成長率(速報値)は前期比▲0.2%、前期比年率▲0.6%となりました。市場予想(ブルームバーグ集計、前期比0.0%、前期比年率▲0.1%)を下回り、2015年10-12月期以来、9四半期ぶりのマイナス成長となりました。

 主な需要項目をみると、大雪など悪天候の影響もあり、個人消費が前期比▲0.0%と低調な結果となったほか、貸家着工の減少から住宅投資が同▲2.1%と3四半期連続のマイナス、設備投資も同▲0.1%と小幅ながら6四半期ぶりにマイナスに転じるなど、内需が低迷しました。

 

【ポイント2】輸出の伸びも鈍化

2017年度は+1.5%成長

 昨年後半の景気を牽引した輸出は、電子部品関連の減少などから、前期比+0.6%と2017年10-12月期(同+2.2%)から拡大ペースが鈍化しました。輸入は同+0.3%で、輸出から輸入を差し引いた外需の寄与度は、+0.1%とプラス寄与となりました。

 合わせて発表された2017年度の成長率は前年度比+1.5%となりました。3年連続でプラス成長となりましたが、市場予想を小幅に下回りました。

 

【今後の展開】1-3月期のマイナス成長は一時的、景気の回復基調は継続

 悪天候の影響などがあった2018年1-3月期のマイナス成長は、一時的なものにとどまる見通しです。

 今後については、海外景気の回復傾向が続くなかで、輸出・生産の回復メカニズムが基本的には維持されるとみられ、企業収益も底堅く推移すると予想されることから、基調として設備投資は増加すると見込まれます。また、個人消費についても、堅調な雇用所得環境を背景に、徐々に持ち直すと予想されます。

 北朝鮮や中東情勢、国内政治の不透明感といったリスク要因はありますが、4-6月期以降は、潜在成長率(弊社推定で年率0.8%程度)を上回るプラス成長に回帰し、景気の回復基調は続くとみられます。